部長の大晩年

永田耕衣という俳人がいた。「琴座」を主宰して、俳句や評論に独自の世界を展開し、コアなファンがいた。この永田耕衣の人生を小説にしたのが、城山三郎『部長の大晩年』。文庫本を読んでいる最中だが、耕衣は好奇心の固まりみたいな人。この人の俳句は難解俳句と言われたが、自分のために作る俳句は他人には理解しがたい部分がある。全部わかるなんてことはあり得ないのだから、わからぬものはわからないままに、耕衣を味わえばよい。


少年や六十年後の春の如し


永田耕衣の句。