多作多捨

多作多捨といえば波田野爽波が思い浮かぶが、爽波の師匠である高浜虚子は、さらにその上をいったらしい。吟行に出かければ、紙を綴じた句帳にちびた鉛筆で、つぎつぎ句を書きつけ、他を圧倒したと伝えられている。俳句はぽっと浮かぶが、次には忘れてしまうことも多く、メモして推敲していくことは大事。虚子は、万物をあるがま受け入れた。生涯2万句以上を残したが、最近出た『虚子全句』(第三書館)で読むことができる。


秋風や眼中のものみな俳句


虚子の句。