歌集の出版事情

『しびれる短歌』(東直子穂村弘共著、ちくまプリマリー新書)を読んでいたら、赤裸々な歌集の出版事情がのせてある。お金に関しては持ち出し。マイナスが当然。第一歌集を作るときは大変で、自分でお金を払って五百部とか千部作って、それを自分で配る。短歌の著名人に300~400冊郵送するので歌集で黒字になることはない。穂村弘は百何万円かかった記憶があると語っている。句集でも似たようなものだろう。長嶋有の『俳句は入門できる』にも出版事情が書かれていたが、出版社も作者の買取を前提に採算を立てている。俵万智の『サラダ記念日』がベストセラーになったことなど、本当に奇跡みたいなもの。売れないのは、短歌も俳句も一緒か。

 

冬の日の言葉は水のわくように

 

鈴木六林男の句。