源五郎

巻尺を伸ばしてゆけば源五郎


波多野爽波『骰子』所収、昭和59年作。

変な俳句である。巻尺と源五郎の出会い、因果関係などあるわけもない。爽波は、この2つの取り合わせが面白いと感じたということなのだろう。『波多野爽波の百句』で山口昭男は「出会いは何でもよいというのではない。この句であれば源五郎しか考えられない。」というが、何故源五郎しか考えられないと言えるのか、私には分からない。俳句の論評は、無根拠の断定や思い込みの吐露にすぎない意見がまかり通る、言った者が勝ちの世界なのか。