第65回南風メール句会
第65回南風メール句会の結果が送信される。今回の参加者は76名。
成績は相変わらずである。
冬三日月独り暮らしの一軒家
2点句。
四季桜本名久と云ひし人
杉田久女の本名は久。墓地は私の住む市の隣である豊田市小原にある。四季桜が有名。1点句。
林真理子『成熟スイッチ』
林真理子は若い頃『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を面白く読んだ思い出がある。エッセイから小説に移り直木賞を受賞して、人気作家となる。最近では不祥事の続いた日大理事を引き受けたのがニュースとなった。
『成熟スイッチ』は、言ってみれば自慢話に過ぎない。若い頃は滅茶苦茶だったが、歳をとりそれなりに落ち着きました、頑張ってきたんだ私という内容。物書きという特殊な業界で生き残ったのだから、自慢話も読み応えはある。いつも思うのだが一芸に秀でた人は、異常ではなく、過剰なのだ。その過剰さが、そこまでやるというぐらいのもので普通人は追随できないのである。林真理子の場合は、それが「書く」ことであり、小説家の仕事が彼女の過剰さにピタリとはまったということなのだろう。
クリーニング店の倒産
夜7時過ぎに電話があり、受話器をとるとクリーニング店からで、会社が倒産したので、品物を20日までに引き取りに来てほしいとのこと。寝耳に水のニュースである。スーパーのバロー内に出店している「はりぶん」を使っているのだが、前売りされたクリーニングチケットがまだ沢山残っている。「はりぶん」は多治見市本社で60店舗ほど多店舗展開していた。最近店舗統合や、包装ビニール袋のランクダウンなどコストダウンに努めていたが、倒産の前ぶれだったのか。
コロナ禍で一番店舗を減らしたのはクリーニング業界である。大手も中小も苦しい経営を強いられていたが、近年の物価上昇がコスト増の追い打ちをかけたのだろう。はりぶんにはシングルマザーの従業員も多いと聞く。倒産は、つらい話にしかならない。
『俳句がよくわかる文法講座』
俳句だけだろう、今だに旧かな使いで文語が使われているのは。見よう見まねで俳句を作り初めたころは、かな使いも新旧混合で無茶苦茶だったが、今は旧かな使いで作っている。普段旧かなは使わないので、句集を作る際には、正しいかな使いか多いに迷うことになる。文語文法の本も結構出ていて何冊か所有している。ジュンク堂で『俳句がよくわかる文法講座』(文学通信)を手にして、例句が最近の俳句が沢山使われていて、面白そうだったので購入。これは大当たりであった。解説がわかりやすくて、問題がどこにあるのか的確に教えてくれる。なるほどこういうことかと、迷妄が開かれていく快感があり、読書の喜びが体験できる。俳句を詠む人の立場から書かれた好著である。著者は、井上泰至と堀切克洋。
かなづかひとは揺れてゐる吾亦紅
西野文代の句。