春日(上)

平成27年「角川俳句賞」は遠藤由樹子「単純なひかり」が受賞。

『春日』の題をつけ応募した50句を公開します。

 

渦巻ける二日の朝のとろろ汁  

燠残るなほ熱かりしどんどの火

新年会忘れてしまふ予測かな

たちまちに闇抱き寄せし冬茜

大寒や朝霧とするかくれんぼ

焚火の火現れ消えてなんやかや

回転をしている地球春灯

梅苗木包帯巻きて置かれけり

二階にもささやきにくる春の水

水温むタクトにかはる指の先

春一番忘れた頃の良き便り

緑葉に朝迎へ入れ雪の下

白梅は朝を含みてひやひやと

雨粒をいくつも弾き猫柳

見えるもの皆朧なる笑ひけり

指切りの小指立てたる春の風

上に下に雀や雀春の庭

桜餅番茶をつけて出されけり

花筏川流れゆきまた散りぬ

段々に花房かかる馬酔木かな

両の手を大きくひろげ花杏

菜の花に光集まる昼下り

春驟雨見慣れぬ石の川にあり

蓬国領土拡大進行中

御乱心紋白蝶の湧き出づる