笑う哲学者

笑うことは免疫力を高めるらしい。もう還暦も超えたので、笑ったり泣いたりするのを無理にこらえる必要もない。笑いたい時に手っ取り早いのは、土屋賢二のエッセイを読むことだ。『年はとるな』の「人は見た目が10割」の一節を抜き書きしてみる。


見た目は一生を左右する。それが分かっているから高校生の多くは、シリア情勢よりも自分の眉の形を気にするのだ。女は見た目の重要性をもっと明確に認識し、整形で顔を加工した上にメイクやカツラで加工し、さらに写真で加工するから、どれが本当の顔か分からないまでになっている(容姿に恵まれなくても元気よく生きている愚妻のような者もいる。勘違いしていられるのも一つの能力だ)。


どうでしょうが。このたたみかけてゆく笑い。一見正しい論が展開しているようで、ゆがんでいく面白さ。こんな文章書けるのは、日本にツチヤ教授しかいないのである。教授もすでに70歳台後半で後期高齢者である。ボケずに健筆をふるってもらいたい。すでにボケているとの説もあるが。