句集『稲津』(2)去来の墓

【句集『稲津』(2)】

柿一つ去来の墓に置かれたる


 西の俳諧奉行と言われた向井去来の墓と、松尾芭蕉が滞在した落柿舎を見に京都嵯峨野へ小旅行。落柿舎の柿はたわわに実り、落柿舎のすぐ裏にある去来の墓は、去来と二文字彫られただけの小さく簡素なもので、柿が1個備えられていた。この墓を見て虚子は感に耐えず「凡そ天下に去来程の小さき墓に参りけり」の大破調の句を詠んだ。


保津川の秋を白波奔りゆく


 トロッコ列車に乗る。紅葉の時期には少し早かったが、車窓から見る景色は楽しめる。線路の下には、保津川が見え、白い波をたてながら流れていく。遊覧船に乗った人達が列車に向かって手を振っている。列車の乗客も負けじと手を振って返す。次はあの遊覧船に乗ろうと思い、後日再訪したが数日前の豪雨で川が氾濫して運航中止。まだ保津川の遊覧船に乗ったことがない。