句集『稲津』(6)木曽川

【句集『稲津』(6)】

 

木曽川の土手を枯草続きけり

 

木曽三川の一つ木曽川は延長229㎞ある全国7位の一級河川である。水源地は長野県で、岐阜県東部から入り飛騨川を合流して濃尾平野を流れ、三重県と愛知県の県境を形成して伊勢湾に注ぎ込む。冬季には、水害対策の堤防道路に枯草が川下へ延々と続く景観が出現する。

 

寒空が静止している潦

 

俳句を始めて覚えた言葉がいくつかある。その一つが「潦(にわたずみ)」。雨が降った後に、突然出現する水たまりのことをにわたずみと言う。万葉集の中では枕詞としても使われ、流れ出るイメージのためか「流る」「すまぬ」「行方しらぬ」などに掛かる。拙句の潦は流れ出す前の水たまりの意味で使っている。