山口百恵・伝説のコンサート

1月29日にNHKが、山口百恵の武道館ラストコンサートを放送した。実に40年ぶりに山口百恵を見た。懐かしいことも懐かしいが、圧倒的な存在感のある歌手だったと思う。山口百恵は1959年生まれだが早生まれなので同学年。スター誕生で芸能界入りし、花の中三トリオの時代から知っている。高校生の美術部だった時、スケッチブックに山口百恵の絵を描いた。山口百恵の引退結婚の時は、就職活動の時期で、試験に山口百恵の引退について作文を書いた思い出がある。放送を見て思ったのは、山口百恵は時代そのものだったのだと思う。阿木燿子の歌詞、山口百恵の歌が女性概念を変えていったのは間違いない。そして歌手としての絶頂期に引退してしまう、究極の生き方。フランスの詩人ランボーを彷彿とさせる、その姿にほれぼれする。山口百恵は好きな言葉は「女」と言っていたが、まさに自ら考える女のために8年かけて築いた栄光もキャリアも捨て去った。しかしそれが故に山口百恵の生き方は伝説として歴史に封印されたのである。放送で見た百恵の顔は、クリムトの描く黄金色を背景にエロスと美が匂い立つ女達のようだった。



冬の水一枝の影も欺かず


中村草田男の句。