句集『稲津』(11)酒蒸し

【句集『稲津』(11)】

 

酒蒸しの浅蜊次々口を割る

 

酒蒸しをしている浅蜊が火の熱により、閉じていた蓋を開けて実を晒す様子を、「口を割る」で「自白する」とかけた機知の句。2014年6月「俳句」に投句して佳作入選した。選者は嶋田麻紀。

 

 

指入れし蜜柑の底より香り立つ

 

蜜柑の皮をむくと柑橘系の果実の甘酸っぱい香りがひろがり、鼻腔を刺激して唾液が口の中にじわりと出てくる。食欲が刺激されたのだ。蜜柑が食べ出すと止まらなくなるのは、果汁たっぷりで食べやすいからか。