句集『稲津』(55)薄暑光

【句集『稲津』(55)】

洗車する水の滴り薄暑光


ホースで水をかけて車を洗う。流れる水が車体からポトポトと滴り落ちていく。丁寧に磨きあげた車に太陽の光が反射してまぶしい。洗車完了、ちょっとした充実感。


夏木立うたごえ風の又三郎


宮沢賢治の『風の又三郎』である。「どっどど どどうど どどうど どどう」である。二百十日でやってくるのだから、夏木立の季語は原作と合わない。ミスマッチの句だな、やっぱり。