句集『稲津』(56)紙飛行機

【句集『稲津』(56)】

わが前に少年立てり大西日


年齢は重ねたが、精神的な成熟の実感はなく、小学生の頃の自分が目の前にいる。夕焼けに照らされて立っている私の感想。


夏空へ紙飛行機は音もなく


紙飛行機を夏の空へ向かってとばす。エンジン音もプロペラの回転する音もなく、空間を飛んでゆく。紙飛行機の行く先を視線が追いかける。