句集『稲津』(70)ハミング

【句集『稲津』(70)】

大寒や波打ち寄せる枯木灘


この句は枯木灘という言葉を使いたかったということにつきる。『枯木灘』は中上健次の小説のタイトル。枯木灘は冬の季語こそ相応しい。


寒の明けハミングをして床屋出る


散髪の爽快感はすてがたいものがある。身軽になったようでハミングしながら床屋の扉を開けて出て行く。さあこれから何をしよう、気分は高揚している。