句集『稲津』(73)若鮎

【句集『稲津』(73)】

春の海猫ゆつくりと降りてくる


転職のため会社を辞めた。伊良湖岬へ一人出かけて海を見ていた。猫が一匹山から降りて来て、同じように海を眺めて座った。語ることなき同志がそこにいた。


若鮎の水切り進む背鰭かな


岐阜県美濃市と関市を流れ長良川に合流する板取川。透明な川水が美しく鮎釣りの人も多い。鮎が列をなして泳いでいく、太陽の光が川面に反射してまぶしい。