句集『稲津』(147)風見鶏

【句集『稲津』(147)】

鰯雲少し傾き風見鶏


秋の空に鰯雲が広がる。風見鶏は少し傾いて立っている。風が吹いている。ただ、風が吹いている。やがて風が落葉を運ぶだろう。


柿の実は風をこらへてとどまれり


柿の木はたわわに実をつけるが、柿の枝に残って大きくなるのは一部である。生き残るのはどこも大変なこと。風に飛ばされないように頑張った柿の実。