抜井諒一『金色』

抜井諒一の第二句集『金色』が出た。角川俳句賞受賞し、他にも色々な俳句賞を受賞している気鋭の俳人である。句集を読んで一番感じたのは、同季語で作品を並べる編集構成の是非である。作者は意図的に仕掛けたと思うが、かつて連作が廃れたようにどうしても並べれば並べるほど、作品の希薄化が進む。同季語で多作品を並べることを続けて、何がしたいのかがよくわからない。帯の自選10句も知的操作の修辞句が並んでいる。作者の現在の関心事はこの辺りにあるのかもしれないが、技を見せることに囚われてほしくないと思う。


日当たりて金色となる冬の蠅


句集のタイトルとなった句。