檀一雄と俳句

小説家の檀一雄は、太宰治の親友で無頼派と呼ばれた。晩年の小説『火宅の人』は流行語にもなった。俳優の檀ふみは娘。その檀一雄が俳句を作り、『モガリ笛』という句集を出していたことを二ノ宮一雄『檀一雄の俳句の世界』(東京四季出版、令1初版)で初めて知る。文人俳句の本などでも檀一雄の名前はあまり見かけない。曾祖父や祖父の影響を受けて俳句を作り始めたものらしい。私の祖父も俳句を作っていたが、日本は短歌や俳句を庶民が普通に作る詩歌の国なのである。9歳の時に檀一雄の母は幼い子供達を残し出奔してしまう。檀一雄の怒濤の人生が始まったのである。


潮騒や磯の子貝の狂ふまで


檀一雄が19歳の時に作ったという句。