夜中の2時過ぎに目が覚めて眠れなくなる。仕方がないので岩波文庫のセネカ『生の短さについて』を読みだす。
人の生涯は、たどり始めた道をたどり、踵を返すことも、歩みをとどめることもない。それは騒がしい物音一つ立てもせず、矢のごとき光陰の速さを戒めてもくれない。生は粛々と流れ行くもの。王の権力をもってしても、世人の人気をもってしても、長くすることはできない。生は出発点となったその日から走り出し、そのままに駆け行く。
鴨長明の「方丈記」を読んでいる様な気分。ストア派の哲学者セネカの言葉は詩人の呟きに似ている。皇帝ネロに自決を命じられたセネカは、最後まで従容として死に臨んだ。