夢枕獏『仰天・俳句噺』

週刊文春の新刊広告で夢枕獏『仰天・俳句噺』というタイトルを発見。夢枕獏のファンという訳ではないが、俳句の文字に惹かれた。夢枕獏は伝奇小説の作家と思っていたが、俳句も作るのかと俄然興味がわき本を買う。夢枕獏はステージⅢの悪性リンパ腫が判明し、その闘病生活が俳句の話に絡めて、赤裸々に綴られたエッセイ。色々な話が錯綜するが、夢枕獏は根底に詩心を抱いた知的好奇心の止まらない人なのだと認識をあらためる。死の淵から思いのたけを書き付け、ライブコンサートを聴いている感じと言えばいいか。人間の業、作家の業がすさまじい。


野の仏桜の雨の降りませと


本書の一番最後に載せてある夢枕獏の句。
辞世の句とならぬことを祈る。