小川軽舟、蛇笏賞受賞

小川軽舟氏の『無辺』が、第57回蛇笏賞を受賞した。蛇笏賞は高齢者の受賞が続き、句集評価よりも俳句界への功労賞みたいになっていたが、若返りが図られ清新な感想をもった。小川軽舟は学年でいえば2年下で同世代。サラリーマン生活を詠んだ句は同感できるものが多かったが、『無辺』はさらに一歩踏み込んだ新境地を展開している。サラリーマン生活もあと数年だろうが、一層の活躍を期待したい。

 

 

元日や見渡すかぎりものに位置

 

バーベキュー薫風汚すこと楽し

 

神に酒仏に水や鉦叩

 

大阪を地下に乗り継ぎ近松

 

水底に欠茶碗あり蜷の道

 

ニュータウンの小さき葬式月静か

 

アマゾンの箱破る快クリスマス

 

新緑やこどもの頃のひかり号

 

まだ詰まる着ぶくれ電車まだ詰まる

 

かあさんと墓を呼ぶ父冬日差す

 

句集『無辺』より10句。