散華

【自解・萩原22】

「銀杏の葉散華とばかりふぶき落つ」

名古屋伏見公園の銀杏。大量の銀杏の葉が、風に吹雪かれ落葉となる様子は圧巻。散華とは、仏の供養に仏前に花をまき散らすことをいう。

「踏みたれば泣き声もらす落葉かな」

通勤の鋪道に敷き詰めるように落葉。その上を歩けば音がするが、踏まれて痛いと泣く落葉の声が聞こえるのである。

「黄がうねる荒地全面金鳳花」

荒地に咲くのは金鳳花。黄色の花が埋めつくし、風に揺れる様は、波がうねっているかのようだ。

「キンポウゲすでに下の葉枯れにけり」

キンポウゲの黄色の花の下の部分は、葉が枯れて茶褐色に変色している。やがて来る衰退の時、運命は押し寄せる。

「道野辺にごろりごろりと枯朴葉」

道に朴葉が落ちてまるまりころがっている。葉が大きいので、ごろりごろりという感じ。野辺の文字に死のイメージを重ねた。