六十三歳

 9月18日が誕生日、満63歳となる。特に感慨があるわけでもないが、老化していく自分は感じる。加齢とともに体力も気力も薄れていく。
 台風が東海地方を通過中であるが、雨は大したことはない。昨日届いた岩波文庫の『久保田万太郎俳句集』は封筒が雨に濡れたため、文庫本がよれてしまった。それでも万太郎俳句は染みる。俳句を読むなら厚過ぎない文庫本が最適だろう。
 三連休は誕生日を祝い、愉しく過ごそうと思う。


あきかぜのへちまとなりて下りけり


万太郎の句。

小寺勇『大阪とことん』

アマゾンで注文した小寺勇の句集『大阪とことん』(海風社)が届く。江國滋が題字と表紙絵を書いている。小寺勇の句集から大阪関連の俳句を集めたアンソロジーらしい。小寺勇は「こてらいさむ」で「こでら」ではないことも初めて知った。大阪弁をまぶした俳句が並んでいる。川柳とも違う味わいで、楽しめそう。


毎朝の柿落葉えぇかげんにせい

こんな筈やないねん独楽が拗ねよって

天神さんが留守やて賽銭はずんだのに


句集から3句。

小沢信男『暗き世に爆ぜ』

朝から曇り空、日差しが強くないので、草ボウボウの畑の草刈りをする。2日連続して作業したので完了したが、疲れてベッドに横になり読書する。なんせ読書の秋である。みすず書房から最近発売された小沢信男『暗き世に爆ぜ 俳句的日常』を読み出す。岩波新書『俳句世がたり』は読んでいるので、俳句をまぶした小沢信男の文は軽快でどんどん読んでしまう。ただ、小沢信男も今年3月3日に亡くなっており、本書は単行本未収録エッセイをとりまとめたもの。俳句を愛した人がいなくなるのは、寂しいことだ。この本を読んでいて日野草城門下の小寺勇という俳人を知る。今度句集を読んでみようと思う。


一茶忌や俺の真似した句が一茶に


小寺勇の句。

抜井諒一『金色』

抜井諒一の第二句集『金色』が出た。角川俳句賞受賞し、他にも色々な俳句賞を受賞している気鋭の俳人である。句集を読んで一番感じたのは、同季語で作品を並べる編集構成の是非である。作者は意図的に仕掛けたと思うが、かつて連作が廃れたようにどうしても並べれば並べるほど、作品の希薄化が進む。同季語で多作品を並べることを続けて、何がしたいのかがよくわからない。帯の自選10句も知的操作の修辞句が並んでいる。作者の現在の関心事はこの辺りにあるのかもしれないが、技を見せることに囚われてほしくないと思う。


日当たりて金色となる冬の蠅


句集のタイトルとなった句。

メール送信エラー

友人達と開催している携帯句会の結果発表のメールを送るのが9日。前日編集作業を終え送信予約する。10日昼食時にメール付着の案内。パニックになり、句会のメールグループに何度も送信してしまう。落ち着いて対応すれば、未送信となったメールの特定をして済む、なんてことはない話だが、時間がないのと、会社のシステムトラブルの悪夢がよぎり、慌てる原因となった。何度もメールが届いた句友には迷惑かけました。陳謝します。


毛布抱き今日はもう寝る話しかけるな

松本大洋『東京ヒゴロ』

松本大洋の新作『東京ヒゴロ』の第1巻が発売された。新雑誌失敗の責任を取り会社を辞めた塩沢と彼に関係する漫画家たちの物語が、ゆっくりと動きだした。松本大洋の独特な絵が楽しめる。この絵柄は他の人にはないのである。ハマると中毒になる。


秋の船風吹く港出てゆけり


飯田龍太の句。

藤本タツキ『ルックバック』

三洋堂書店に行くと藤本タツキの『ルックバック』が積み上げて売られている。
帯には「ジャンプ+史上最多閲覧読切作品」とある。『チェーンソーマン』は読破したが、最新作品に興味がわき購入。京都アニメーションの事件とチェーンソーマン的世界が融合して、読ませてくれる。藤本タツキタツキの作品は私の嗜好とぴったり合う訳ではないが、奇才であることは間違いない。才能は常に違和感と共にやって来る。コアな漫画読みからすでに沢山のコメントが発表されているが、読み応えがある作品だ。


表紙絵はみどりの背中秋の空