2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

雪の下

【2015年俳句(27)】 緑葉に朝迎え入れ雪の下 高浜 虚子は雪の下を好んだらしい。 うららけし長居しようかもう少し 暖かく気持ちの良い日には、この世も悪くないなあと思うのである。

指切り

【2015年俳句(26)】 指切りの小指立てたる春の風 指切りをして約束をしたのは、はるか子供時代。立てた小指に春の風が触れてゆく。 水温むタクトにかわる指の先 水の温度も暖かく感じる春の季節、指先も指揮棒(タクト)のようにリズムを取りはじめる。

春泥

【2015年俳句(25)】 春泥を進まん虚子の背を眺め 高浜虚子の『五百句』を読みコメントする「虚子探訪」のシリーズをブログで始めたころに詠んだ。 春の泥わが住む町の名は稲津 私の住所は、岐阜県瑞浪市稲津町。稲と泥は切っても切れぬ仲。

震度3

【2015年俳句(24)】 震度三揺さぶられても春の夜 震度3ぐらいだと、そのまま寝ている。ましてや春の夜ともなれば。 これよりは余生としたる鳥雲に 余生などという言葉に反応する年齢に到達してしまった。

御嶽山

【2015年俳句(23)】 冠雪の御嶽山の鋭き白さ 勤めている会社から御嶽山はよく見える。御嶽山の白さは 、弧高の鋭き白さ。 見えるもの皆朧なり笑ひけり 霞がたちこめ、あたり一面真っ白。こんな状況では笑うしかないではないか。

紙風船

【2015年俳句(22)】 血圧のデジタル表示春嵐 血圧計の数値が異様に高い。うーん。高血圧の薬は服用していない。できるだけ薬は飲みたくないのだ。 紙風船高く上がらず落ちてくる 「落ちてきたら 今度はもっと 高く高く 打ち上げようよ」と歌にあったが、紙風…

ランドセル

【2015年俳句(21)】 馬鈴薯や種芋は美丈夫ばかり ジャガイモを植える。種イモを半分に切り 灰をまぶして置き、土をかぶせてゆく。 種イモはつやつやとして頼もしく、まさに美丈夫。 新入生音たててゆくランドセル 小学一年生のランドセルはやけに大きく、ま…

梅日和

【2015年俳句(20)】 梅が枝力集めて待ちにけり 梅日和今日一日を使い切る 日本に梅の花がある幸福。桜の花もいいけど、梅の花の味わいもまた格別。 梅の花を見て歩き回れば、時間はいくらあっても足らず。

苺畑

【2015年俳句(19)】 梅苗木包帯巻きて置かれけり 梅の木を庭に植えたいと思い、ホームセンターへ行く。 梅の苗木は、根元を布で包帯のようにぐるぐる巻かれて売られていた。 新しき娘の名前苺畑 結局、梅は買わず苺の苗を4本購入。トチオトメと章姫。栽培結…

啓蟄

【2015年俳句(18)】 頂の雪斑なり二月尽 木曾の駒ヶ岳 山頂の冠雪も溶け出してまだら模様を呈している。二月も終わり、いよいよ春の本番。 啓蟄や虚子の足跡追いかけて 高浜虚子の勉強ということで、ブログに「虚子探訪」とタイトルをつけ、『五百句』を順に…

寒波到来

【2015年俳句(17)】 日本に寒波到来雪土産 天気予報が寒波の到来して天候は雪になると告げている。訪問の手土産は雪ですか。 白と青入れたちかわり空二月 二月の空は白く曇っていたり、青空だったり。入れ替わり、立ち代わり天上界の光景も変化する。

【2015年俳句(16)】 残りたる寒さまるめて霰かな 霰は寒さが丸まったもの、君はそう思いませんか。 寒空に命あるもの震えけり 命あればこそ、寒さに身を震わせるのである。

立春

【2015年俳句(15)】 立春や背筋伸ばして息深く 春の到来。姿勢を正し深呼吸。 水ぬるむ両の手を水こぼれ落ち 両手からこぼれ落ちる水も温かくなってきた、春だなあ。

焚火

【2015年俳句(14)】 焚火の火現れ消えてなんやかや 焚火の炎が、踊るように動く。現れたと思ったり、いなくなったり。 朝の雪積もらず二月急ぎ過ぐ 朝の天気は雪。大した量ではないから積もりませんでした。二月も終了。

かくれんぼ

【2015年俳句(13)】 大寒や朝霧とするかくれんぼ 朝から霧がかかって何も見えない。気分はかくれんぼ。 山の端に赤色消えし夜寒かな 山際に残っていた夕焼けの赤色もいつしか消えて、寒い寒い夜となる。

冬茜

【2015年俳句(12)】 ストーブの音響きけり夜の部屋 夜の寝室に聞えるのはストーブの燃焼音のみ。 たちまちに闇抱き寄せし冬茜 冬の夜は早い。アッというまに真っ暗。

大根

【2015年俳句(11)】 藍深き山脈の中冬の道 冬の季節、山脈の藍色を一層濃く感じる。 大根のふくらみ土の中にあり 大根の白さがまぶしい。その豊かな形状に大地の恵みと思う。

雪割草

【2015年俳句(10)】 雪割草夢の続きを咲きにけり 三橋鷹女の句に「みんな夢雪割草が咲いたのね」というのがあります。 雪礫爪の先までしんと冷え しっかりと固めた雪礫(ゆきつぶて)。それを投げる手は、爪の先まで冷えてしまっている。荒涼とした心象世界が…

恵方

【2015年俳句(9)】 恵方へと子の歓声や冬の鳩 「恵方巻」という地方食が、食品セールスで大大的に宣伝されるようになって、「恵方」の文字もにわかに脚光を浴びるようになった。 時雨るるや一山すべて白に消す 雨でけぶり、風景は白色の中に消えていく。水墨…

初市

【2015年俳句(8)】 書初や筆黒々と撥ねて留め 墨で書く文字は味わいがある。書く字に気合を込めて。 初市やまずは今年の運試し 私の場合の初市は、古書即売会のこと。鶴舞の名古屋古書会館へ出かけていく。

どんど

【2015年俳句(7)】 煙立ち人寄り来たるどんどかな 燠残るなお熱かりしどんどの火 どんど焼の2句。この行事が終わると1年が本格的に動き出す。

新年会

【2015年俳句(6)】 新年会忘れてしまう予測かな 新年会などで語られる今年の予測、誰もおぼえていない。 夢うつつ荘子の蝶を見失い 中国古典『荘子』の蝶の話は有名。夢うつつの幻。

初夢

【2015年俳句(5)】 初夢の枕にたらす涎かな 初夢は、一富士、二鷹、三茄子 と言うが。すべては夢の中。 初夢を思い出せずに二日かな 思い出そうとするが思い出せない。すでに記憶の彼方。

新日記

【2015年俳句(4)】 新日記新たなるかな志 日記をつけている。新年は、新しい日記帳になる。 新年の抱負を書く。 渦巻ける二日の朝のとろろ汁 私の住む地方では、2日の朝にとろろ汁を食すのが慣例。

初御空

【2015年俳句(3)】 汝が声の澄みわたりけり初御空 清澄な空気に、人の会話の声も澄みわたる。新年の淑気が充ちている。 年賀状一年ぶりの名前読む 年賀状だけの付き合いの人がいる。懐かしく年賀状に見入る。

御嶽山

【2015年俳句(2)】 御嶽山白き姿の大旦 わが会社からは御嶽山がよく見える。噴火災害の後も白煙はあがっていた。 新聞も着ぶくれしたるお正月 元旦の新聞紙は、本体記事も広告も分厚い。

大気圏

【2015年俳句(1)】 2015年の俳句を、出来不出来は問わず作成順に発表していきます。 我慢してお付き合いを。 大気圏突入す年新たなり 2015年は、全く違う業界の会社に転職して初めてのお正月。「大気圏」に突入した気分。 行方は見えない。 初詣平成の人増え…

春日(下)

角川俳句賞の応募作、「春日」残りの25句です。 蒲公英に包囲されたる一軒家 廃屋のこんなところに黄水仙 葱坊主帽子が欲しくなる日あり 風そよぐアスパラガスの緑苗 若緑天を仰ぎて立ちにけり 蓮華草境界線の見当たらず 紙風船高く上がらず落ちてくる 花虻…

春日(上)

平成27年「角川俳句賞」は遠藤由樹子「単純なひかり」が受賞。 『春日』の題をつけ応募した50句を公開します。 渦巻ける二日の朝のとろろ汁 燠残るなほ熱かりしどんどの火 新年会忘れてしまふ予測かな たちまちに闇抱き寄せし冬茜 大寒や朝霧とするかくれん…

南風(8)

最新号の掲載句です。『南風』優先で投句しています。だから、自分の俳句では一番いい句があると思います。(南風11月号掲載) それぞれに犬抱き上げて帰省の子 夏の風空巣が一つ残りけり 昼寝する子の大の字が崩れけり