2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

処女作と第一句集『萩原』

俳句界の長老、金子兜太の俳句処女作は「白梅や老子無心の旅に住む」すごいね、いきなりこんな俳句は作れません。わたしの処女作は、中学一年生の時に作った「夕焼けに顔をてらして母を待つ」という句で、当時学研が出していた学習雑誌『中一コース』に投稿…

オムライス2句 「たいめいけん」と「明治軒」

角川ソフィア文庫『洋食や たいめいけん よもやま噺』購入。 たいめいけんといえば、オムライス。映画「たんぽぽ」以来、名物料理となっているタンポポオムライスは、チキンライスの上にのせてあるオムレツを自分で崩し拡げて食べます。大変、美味です。たい…

桂信子自選50句 (3)

桂信子の俳句の特質は、叙情と明晰という言葉に集約される。平明な言葉を使い、事象の奥底にあるものを追求した。「海面には大波が立っていても、海の底のほうはものすごく静かで動くようなものはほとんどないような、物事の底にあって動かぬものを詠むべき…

桂信子自選50句 (2)

桂信子、1914(大正14)年、大坂生。日野草城に師事。昭和14年結婚、2年後に夫が急逝。以後会社勤務し自活。定年退職した昭和45年「草苑」を創刊主宰。新興俳句出身の俳人として活躍、宇多喜代子らを育て、2004(平成16)年90才で逝去。自選50句の続きを紹介…

桂信子自選50句 (1)

女性の俳句作家で一番好きなのは、桂信子。 全作品は、『桂信子全句集』(ふらんす堂)にまとめられたが、平成11年に「俳句」1月号で、50句を自選している。桂信子は、平成16年逝去したので、おそらくこの50句が生涯のベスト50と推測される。第一句集『月光…

川崎展宏『葛の葉』の決意表明

川崎展宏の処女句集『葛の葉』は、昭和48年に刊行。序にかえて巻頭に「をみなへしといへばこころやさしくなる」の句を掲げ、昭和38年から47年まで18年間の作品302句が収録されている。この句集の跋文で、俳句に対する決意表明をしている。「俳句は遊びだと思…

草間時彦処女句集『中年』の告白

草間時彦の続きである。草間時彦の第一句集『中年』は、昭和40年に竹頭社から出版された。草間、45歳の時である。しかし、何で中年なんてタイトルにしたのだろう。師の波郷は「中年」の題名が気に入らなかったようであると、自作の略年譜には記されている。…

草間時彦とサラリーマン俳句

さて、草間時彦である。 草間時彦、大正9年東京生。水原秋櫻子、石田波郷に師事した。草間は、昭和26年に製薬会社の三共株式会社に入社、当時31歳。俸給生活者、今ならサラリーマンか、その宮仕えの哀感を俳句に詠んだ。「冬薔薇や賞与劣りし一詩人」「勤めの…

飯田蛇笏のわからない句

『俳句鑑賞』を読み進める。飯田蛇笏の句で「積雪や埋葬をはる日の光り」という句が鑑賞されていて、思い出したのが「なきがらや秋風かよふ鼻の穴」である。この句は蛇笏の代表句とされているが、この句を良いとする理由が今だ解らず、疑問のままだ。 死体を…

三好達治の俳句観

三好達治の俳句観を『俳句鑑賞』の抜粋で追いかけてみたい。芭蕉の「行く春を近江の人とをしみける」の鑑賞から「簡単なようでも、俳句は抜きさしならぬもので、ちょっとちがえばすぐ全体の調子が変ってしまう。芭蕉がたびたび句を直す苦労をかさねたのも、…

三好達治「雪」と安西冬衛「春」

昨日の続きで、三好達治である。 三好の詩で最も知られているのは、『測量船』(昭和5年)に収録されている「雪」だろう。太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。この17字21音の二行の詩、俳句の断定する発想から出…

三好達治『俳句鑑賞』

朝6時過ぎ、駐車場から駅に向かう。 西の空には月が残り、街灯はまだついている。 駅ホームの蛍光燈の白い列が見える。 東の山並みの稜線が紅をさし空の青と交合をはじめる。 朝以前のこの風景は、寒気も加わりなかなか良い。通勤のカバンには三好達治の『俳…

友岡子郷の俳句、跳箱、震災、花ゑんど

『友岡子郷句集』(ふらんす堂、現代俳句文庫7)読み進める。 友岡子郷は、昭和9年生。兵庫県神戸市出身。 波多野爽波、飯田龍太に師事。「椰子」代表。 子郷の俳句で、まず最初に思い浮かべる句は、 「跳箱の突き手一瞬冬が来る」 鮮やかな世界の転換が印…

ブログ命名「クドウ氏の俳句帖」

本日も朝から雪。 空は白くけぶり、間断なく雪は降り続く。 午前9時頃には降り止み、午後から雪掻きをする。ブログ名を「クドウ氏の俳句帖」と命名して、デザイン変更もおこなった。 鈴木鷹夫『春の門』読了。主催誌「門」創刊前後の気合が伝わる句集。「白…

雪の降る町を

本日、雪。雪の歌で思い出すのは、「雪やこんこ、霰やこんこ」の唱歌「雪」と、「雪の降るまちを 想い出だけが 通りすぎてゆく」の「雪の降る町を」だ。 そういえば、安住敦の最後の俳句は、「雪の降る町といふ唄ありし忘れたり」だった。「雪の降る町を」は…

4つの長寿食

鈴木鷹夫の第四句集『風の祭』読了。続いて第三句集『春の門』も届く。「湯豆腐の湯気やんでをり老後なり」「独酌やはるかを鳶の青嵐」「衣被きれいな顔が奥の席」 俳人は長生きな人が多い。 阿波野青畝93歳、山口誓子92歳。 金子兜太は今94歳。老いて…

だるまさんがころんだ

携帯句会の参加を呼び掛けたK女史より返事あり! ほんとお久しぶりです。短歌もいいけど、俳句も面白いことは保証します。今は昔、学生時代に別役実の「黄色いパラソルと黒いコーモリ傘」という芝居で共演しました。私は、その時に大根役者がばれて、以来ち…

ブログ開設しました

『ふけとしこ句集』(ふらんす堂、現代俳句文庫59)読了。 ふけとしこは、1946年生、岡山県出身。1995年に俳壇賞を授賞し、第一句集『鎌の刃』刊行。岡山県の山間の川上町で生まれ育ったこともあり、「虫のとしこ」と呼ばれるくらい昆虫、小動物、草…