2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

馬鈴薯の花

五月も今日で終わり。馬鈴薯の花が咲いているのを見つけた。花の周りを、モンシロチョウが飛び交っている。「じゃがたらの花の静かに咲きにけり」「馬鈴薯の花あえかなる葉の間」

鷹羽狩行が詠んだ鵜飼

5月11日、長良川鵜飼始まる。 鵜飼を詠んだ俳句の最高峰は、芭蕉の「おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな」だと思うが、どうだろう。角川の雑誌『俳句』2014年6月号が、鷹羽狩行の特別作品50句を巻頭に掲載している。その中で長良川五句として詠まれた句は、…

「酒蒸し」の句、佳作入選

角川の『俳句』2014年6月号に「酒蒸しの浅蜊次々口を割る」の句が佳作入選。選者は嶋田麻紀。 いつも三句を雑詠に投句するが、他の二句は「雪いまだ地を純白に覆い得ず」「出港のフェリーが作る春の波」題詠にも二句投句、この月の題は「犬」。「飼い犬の吠え…

通勤路(下)

「通勤路」の残り25句。口開けし金魚見上ぐる空のあり アスファルト蟻の荒野は続きけり 紫の唇笑うプールの日 黒き空花火の雫しだれ落つ 遠雷に山まばたきて痙攣す 台風の雨が屋根打つ乱拍子 新涼や車窓向こうに影法師 月天心沈黙の無き街の上 車燈つき宵闇…

通勤路(上)

第59回角川俳句賞に投稿した。2013年角川俳句賞に「通勤路」の題をつけ初投稿。角川俳句賞は未発表作品50句が必要。素人に怖いものなし。ありったけの俳句をかき集めて出した。俳句は、句集「萩原」所集の俳句と同一。2回に分けて紹介します。雪やまず無音の…

【自解・萩原】シリーズ終了 !

【自解・萩原69】 あとがき 二〇一二年正月、携帯電話をスマートフォンへ切り替えたのを契機に俳句を始め、五十五歳の記念に句集を制作することにした。 収録した三六〇句は、本年八月までに出来た俳句のほとんど全てである。また、句集名の「萩原」は、出生…

月天心

【自解・萩原68】「唸り声無月の庭に猫が寄る」夜の庭で猫の唸り声がする。何を揉めているのか。「ペケポンが父の口癖夜の秋」ペケポンのペケは×のこと。ポンは放り投げる擬音。製陶業を営んでいた父の不良品を仕訳る時の口癖。「生身魂いつしか前に押し出さ…

蘭の花

【自解・萩原67】「カラオケの上手せつなし蘭の花」カラオケの滅法上手い人がいる。飲み屋に通いつめて金も随分つぎこんだのだろう。酒場にある哀愁。「無花果や実をやわらかに結びたる」イチジクは柔らかな食べ物。好きだ。「松茸の香りひろがる炊飯器」松…

哲学の道

【自解・萩原66】「地の際をウスバカゲロウ飛んで来る」散歩する足元に地面スレスレの低空飛行で、ウスバカゲロウがやって来た。「秋口のどんと三門南禅寺」「秋の日や哲学の道猫の道」「山門をくぐりて処暑の法然院」「京都三句」の前書き。南禅寺は三門が…

信州戸隠

【自解・萩原65】「空高し鉄塔山をつなぎゆく」屏風山の山並をつないで、送電線の鉄塔が続いていく。「朝明けて四方八方虫の声」朝、目覚めると虫の音が鳴り響いている。すっかり秋となっている。「トーストにバターひろげて秋日和」 豊かな秋の色。トースト…

蜩の声

【自解・萩原64】「それはまた後の楽しみ生姜摺る」摺った生姜は何に使ったのだろう、焼茄子、冷奴、それととも刺身。いずれにせよ、酒は飲んだな。「白百合の頷き咲けるすべてよし」「ファンファーレ空へ響かせ百合の群」群生した山百合が夏の終り頃には一…

ブログ100回到達

阿波野青畝が、『俳句のよろこび』(平成3年、富士見書房)に所集の「私の俳句作法」のなかで以下のように述べている。「 韻文詩として俳句がある。 韻は余韻またはひびきをいうのである。 小さいものはひびきによって大きくひろがる。無限にひろがるときは…

蓑虫の一日

【自解・萩原63】「スイカ割り地球縮尺玉一つ」スイカ割り用に置かれたスイカを見て地球を連想した。「一気呵成レモンスカッシュ飲み干して」レモンスカッシュはレスカと短縮して呼んでいた。一気に飲み干す。炭酸の泡が心地よい。「夏終る同窓会の案内状」…

炎熱40℃

【自解・萩原62】「消耗の時間進まず油蝉」暑い夏の日、消耗戦を強いられる。じりじりとしか進まぬ時間、油蝉の鳴き声が反響する。「忍耐を抜きさる暑さ40℃」2013年の夏は、異常に暑く40℃をつける日もあった。もう勘弁してくれと言いたい炎暑の日、忍耐の限…

流星群

【自解・萩原61】「南瓜這うどこまでも這うどこへでも」カボチャの繁殖力は本当に凄い。空いている空間があれば、どこまでも蔓は伸びて行く。「七夕や手先もみやび美し人」七夕の日に乗った電車に美人がいた。携帯電話を操作する手の動きも優雅で美しかった…

男伊達

【自解・萩原60】「魂抜けの蝉ころがりし朝かな」蝉の脱け殻を空蝉とよぶ。もちろんそこに魂はない。「柿の実の小さき緑葉々の間」柿の実も最初は本当に小さな実、緑の宝石が柿の若葉の間に輝いている。「瞬いて花開きけり白木槿」白い木槿の花は、瞬くよう…

茄子の花

【自解・萩原59】「マル書いて日記は終り茄子の花」句点(。)を記して、日記は取り敢えず終了。日常の時間は途切れず、のたりのたりと流れていく。ありふれた毎日の連続を茄子の花に取り合わせた。「濡れて在りもの皆静か夕立後」夕立の後の、なにもかも濡れ…

浮月楼

【自解・萩原58】「天地人ゆかし草薙盛夏かな」 日本武尊が東征の折、火攻めに会い剣で草を薙ぎ払い難を逃れた由緒ある地が草薙である。静岡出張の挨拶句。「日々平安泰山木の夏静か」「夕立や慶喜書きし狂の文字」 「静岡市「浮月楼」二句」の前書き。浮月…

向日葵

【自解・萩原57】「青き尾の蜥蜴隠れし草いきれ」蜥蜴は家の周辺でよく見かける。お互いの存在に気づくと、慌ててその身を隠すのである。「地を照らし日輪暑さを加速せり」 暑さを一層感じる太陽が照りつける日。「加速せり」の言い回しが自分では気に入って…

八橋かきつばた園

昨日11日、三河八橋の無量寿寺にカキツバタを見に行ってきた。 伊勢物語で在原業平が「からころも きつつなれにし つましあらば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」と「かきつばた」の五文字を句頭に入れて歌を詠んだ名勝地で、カキツバタは今が満開。 カキ…

もぬけの殻

【自解・萩原56】「天蓋を割りて雷落ちにけり」落雷の大音量。天の蓋を叩き割って地に落ちてきたか。「紫陽花の色深み行く山の道」アジサイの色が山道を進むにつれて、より濃く深い色合いに変化していく。「蝉の声夜明けを待たず空に充つ」夜明け前から蝉は…

根株杉

【自解・萩原55】「土の中蝉が息する音幾万」夏、蝉の声で溢れかえるが、まだ蝉が出てくる前の地中の存在に思いを馳せて。「噴水や空に疑い四散して」人間ドック再検査項目異常なしの判定に喜びの一句。「翳さして紫陽花の宴始まりぬ」アジサイは直射日光を…

休耕田

【自解・萩原54】「梅雨の間じわりじわりと雲の波」梅雨時の雨か止んでいる間、雨雲はじわりじわりと広がっていく。「シャワー出す水のたるみや壁の黴」シャワーの調子が悪く、放水に勢いがない。ふと見れば壁にはカビが出ている。物憂い梅雨時のワンショッ…

殿様蛙

【自解・萩原53】「川中に白鷺立ちて睥倪す」土岐川の洲に立った白鷺が四方を眺めて立っている、この世の番人の如く。「竹林の狂騒梅雨の高笑い」竹林は風に揺さぶられて猛り狂い、雨は轟音とともに地に降り注ぐ。梅雨の一日。「入道雲脂肪の塊が数多」入道…

百足

【自解・萩原52】「精虫の何処に消えし夏の沼」精虫なるものは存在しない、虚構の産物。元気・活力の源を精の文字は象徴する。活動の季節は終わり、何もかものみこんだ沼がひろがるシュールな風景。「事故の後皮膚に住み着く百足かな」トラックとともに川へ…

祝麦酒

【自解・萩原51】「職決めし遠き娘に祝麦酒」 「夏空を飛行機雲の遥かなる」「長女亜美、内定二句」前書き。東京の大学に進学した娘は、東京で就職することを決めた。お祝いの句。「生き物の足見せならぶ駅の夏」夏は、女性が生の足を見せる季節。肉体が露出…

迷い犬

【自解・萩原50】「囀りの朝を伝えて途切れなし」朝が開けた。林に囀る鳥たちの声が、いつまでも途切れず続いている。「地を敲く靴音返す夏こだま」地面をたたくような靴音が、谺となって夏空に響きわたる。「梅雨寒やリード引きずり迷い犬」梅雨寒の朝に、…

人間ドック再検査

【自解・萩原49】「睡蓮の灯をともしけり池面」睡蓮の花が開花。池に灯火が一つ一つ点灯されてゆく。「六月の森の冥きに沁みゆけり」六月の森を散歩する。森の道は静かで、陽光は遮られ陰影が濃い。しみじみとした気持ちで、歩いて行く。「過ぐ風に風鈴の音…

葱坊主

【自解・萩原48】「床の上雨水走り蛇となる」床の上を傘から滴り落ちた水が流れて行く。まるで蛇が進んで行くかのように。「この土地も黄花コスモス征したり」「コスモスは黄色を強く主張する」外来種の黄花コスモスは、繁殖力が強く各地を黄色に塗り替えて…

雨蛙

【自解・萩原47】「掛声をせえのと揃え御輿上ぐ」祭の御輿を「せえの」と掛け声を揃えて持ち上げる。世の中にある持ち上げられた無数の御輿、そしてその担ぎ手。「夏電車女座りて足を組む」夏の電車に乗車してきた女は、座席につくなりおもむろに足を組んだ…