2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

天道虫

【自解・萩原45】「天道虫赤く小さくひそみ居り」テントウムシは赤い、そして小さい。ひっそりとたたずむように、そこにいる。「夜の雨しぼり鳴くなり遠蛙」田に水が入ると蛙の合唱が始まる。雨の夜は、遠くから絞り出すように鳴声が聞こえる。「鴨の王水を…

石楠花

【自解・萩原44】「石楠花の急ぎ咲くなり赤く赤く」「石楠花や赤き花弁のどさと落つ」わが家の石楠花は、セイヨウシャクナゲという種類で大きな花が咲く。「玄関の沢蟹横へいざりたる」家の前を川が流れていて、川に注ぎ入る水路もある。沢蟹も生息していて…

根の上高原、曼荼羅寺、阿智村

【自解・萩原43】「林間に紫流る山躑躅」 「山上湖ボート一艘浮かびたる」「根の上高原、つつじ祭り」前書き。根の上高原は、岐阜県中津川市と恵那市に広がる高原。小さいが湖もありボートを漕ぐこともできる。「藤棚の皆睦みあい曼荼羅寺」 「藤房の紫重く…

竹の秋

【自解・萩原42】「春時雨ビニール傘の透き通る」雨が降ると、最近は白いビニール傘もよく見かける。コンビニで格安で販売されているからだ。ビニール傘は透明だから、透けて風景も使用者も見ることができる。「去りゆくや春はまだまだ終わらぬに」 「棺窓静…

姫女苑

【自解・萩原41】「ひろげゆく色の陣地や芝桜」芝桜が、植生地域を徐々に拡げていく。まるで陣取りゲームのように。「紅の滲みて沈む春日かな」春の夕陽は、水分を含んで滲んだような印象の赤色。艶やかなエロスの世界が展開される。「乗り過ごし一人春夜の…

芝桜

【自解・萩原40】「立ち眠る娘の車輌菜畑過ぐ」電車で立ちながら眠っている娘を見た。車窓の風景は満開の菜の花が咲く畑となり、今車輌は通過して行く。美しい季節を眠っているのは、もったいない。「春雷や一駒進む将棋の歩」サラリーマンは会社の将棋の駒…

春泥

【自解・萩原39】「花訪いの足をとどめし春驟雨」桜を見に行くはずだったが、雨が降りだしたので行くのは中止。「風運ぶ花びら一つ廻り落つ」風が運んできた桜の花びらが、くるくると回転しながら地に落ちていく。「春霞ヘッドライトの眼が覗く」春霞ただよう…

春爛漫

【自解・萩原38】「通勤路燕よぎりし空を仰ぐ」燕が通勤の道をよぎり飛ぶ。燕の飛ぶ姿を追いかけ、空を仰いだ。空はどこまでも広がっている。「裏山に鶯鳴ける声一つ」わが家の北側は山。広葉樹の林には色々な鳥が集まってくる。春は鶯、高らかに一声鳴いた…

水仙花

【自解・萩原37】「水仙花はいと応えずわかつたわ」言っても動かない娘、同じ事を繰り返し言う母親。「はい」と素直に返事をせず「わかったわ」と回答する。うるさいなあの気分ありあり、困ったもんだ。「啓蟄や一人喋りの痴れ男」 「啓蟄や口開け婆の凭れく…

花粉飛ぶ

【自解・萩原36】「立春や体感温度上がりけり」春と聞けば暖かくなる。体感温度が上昇するような気がする。「さあ渡れ春空すべて青である」春の空は、全面的に青。さあ、前進!「春いぶき山迫りくる関ヶ原」新幹線で大阪へ行く途中、関ヶ原で作句。伊吹山の…

点滴

【自解・萩原35】「風強し枯キンポウゲ揺れて在り」四日市の句と同日作成。枯れたキンポウゲが強風に揺れている様子。「救急車サイレンの音寒気割る」救急車のサイレン音が鳴ると、事件が起きたと思う。寒気を切り裂き、救急車は疾走する。「冬靄の白くかぶ…

横綱大鵬逝去

【自解・萩原34】「ストーブの芯赤らんで火照るなり」石油ストーブに点火すると、芯が赤らみやがて真っ赤になる。暖かいから熱いと感じるようになり、顔が火照つて気持ちも昂る。「鵬(おおとり)は天に飛び立ち冬茜」「横綱大鵬ゆく」の前書き。歴代の横綱…

寒四郎

【自解・萩原33】「白菜はばっさりと切られたり」ばっさりと切られるのは、白菜だけではない。人事異動の感想の句。「かぶさりしものがあり冬の三日月」月の光を遮るものがあるため、月は形を変える。不安感を月に映した。「通勤の列車の軋み寒四郎」通勤の…

寒雀

【自解・萩原32】「真心という言葉あり寒椿」真心という言葉は素敵な言葉だと思うが、最近は聞くことも、読むことも稀となった。この言葉にぴったり合うのは寒椿の花と思う。「冬の夜方向指示器点滅す」方向指示器の点滅音が運転席に響く。右へ行くのも左へ…

伊勢神宮

【自解・萩原31】『句集萩原』の2013年の掲載句190句を順に紹介していきます。お付きあいのほどよろしくお願いいたします。「初御空悠然として雲進む」新年の気分を悠然と進む雲に託して。「寥々と冬田にあくる白き朝」「寥々」は、ひっそりとしてものさびし…

除夜の鐘

【自解・萩原30】「階段を幾つもの靴除夜の鐘」虚子の句に「去年今年貫く棒のごときもの」があるが、階段も年と年をつなげているのかもしれない。階段を上っていく数知れぬ様々な靴。除夜の鐘が鳴り一年が終わる。「半世紀五つを越えて御慶かな」「初詣心静…

聖誕祭

【自解・萩原29】「人気なき桜並木に雪の花」雪の日、桜並木にも降り積もり、枝には雪の花が咲いた。花の季節ではないから、その花を見る人の姿は無い。「聖誕祭生きとし生けるものに歌」「長女亜美クリスマス演奏会」の前書き。長女が所属する大学の混声合…

追悼 小沢昭一

【自解・萩原28】「世の中を遊び尽して実万両」「小沢昭一逝く」の前書き。2012年12月10日、前立腺ガンで死去。俳号「変哲」、東京やなぎ句会で活動。小沢昭一の本が、俳句へのめり込むキッカケとなった。「乾杯の盃鳴らす師走かな」十二月は、なんだかんだ…

雪嶺天に輝ける

【自解・萩原27】「山の端に星残りたる冬六時」冬の午前6時は、朝はまだあけず夜。西の山の空には、まだ星が残り光っている。遠距離通勤の会社員はつらいね。「冬装備換えしタイヤの溝の減り」 冬の雪に備えて、ノーマルからスタッドレスにタイヤ交換する。…

葱ゆだる

【自解・萩原26】「街師走黒着る人の多かりし」師走、十二月。街を行く人の服装は、コートも背広も圧倒的に黒色が多くなる。暖かさを求めると、黒になるのだろうか。「冬晴やビルの鋭き角切る景色」冬の晴天日は、景色がくっきりと見える。ビル鋭角のライン…

ポインセチアのざわめき

【自解・萩原25】「冬の朝瀬音犬吠え飛行音」冬の朝、起床する時聞こえる音。川の流れる水音、犬の吠える声、空を飛ぶ飛行機の音。「寒雀小枝大枝群れ揺らす」雀が群れをなして、小枝から大枝へと移り飛び、重みに枝が揺れている。「茶の花や冷たき水で手を…

森光子と「時間ですよ」

【自解・萩原24】 「薄枯る穂わた次々飛びゆけり」薄が枯れて白い穂わたが、風に吹かれ飛んでゆく。新たな地をめざす旅の始まり。「首ふりて駅を闊歩す鳩の冬」冬の名古屋駅プラットフォームを鳩が餌を求めて歩きまわる。首を前後に振り勢いをつけて前へ進ん…

寒鴉

【自解・萩原23】「マフラーを巻きて季節を変えにけり」マフラーを巻けば気分も変わる、季節も変わる。冬がやって来る。「寒暁や青き灯ともす駐輪場」駅の駐輪場はブルーライト。青色には犯罪抑止力があるとのこと。冷え込んだ朝の青い光は、一層寒さをつの…

散華

【自解・萩原22】「銀杏の葉散華とばかりふぶき落つ」名古屋伏見公園の銀杏。大量の銀杏の葉が、風に吹雪かれ落葉となる様子は圧巻。散華とは、仏の供養に仏前に花をまき散らすことをいう。「踏みたれば泣き声もらす落葉かな」通勤の鋪道に敷き詰めるように…

落葉放浪記

【自解・萩原21】「紅葉のうねりし山を走りけり」高速道路を走ると山の紅葉が素晴らしい。山ごとに色合いも違う。まるで山がうねっているかのようだ。「さようならまた遊ぼうね日短」 夕暮れの電車に乗り込んできた女の子が、車窓から友達に「さようなら、ま…

元気がでる俳句

【自解・萩原】シリーズも20回、100句を紹介した。 ちょいと一休み。俳句は「自由」、俳句は「自在」。極楽の文芸、そう思っている。いつか、胸に沁みる一句をものにしたい。精進あるのみ。 「恋猫の世界を敵にまはしても」(大木あまり) 作れそうで作れない…

飛行機雲

【自解・萩原20】「山裾の漆紅葉の日差し濃く」紅葉の時期、鮮やかな赤色を見せてくれるのは漆の木だ。真っ赤な葉が陽光を照り返し、そこだけ日差しが濃いように思ったりする。「県道に狸死にたり小夜時雨」タヌキは夜行性動物。夜にあちこち徘徊し、運のな…

砂時計

【自解・萩原19】「秋の朝あけて街灯暗かりし」朝が白々と明けると、それまで夜道を照らしていた街灯のあかりが暗いものに感じる。太陽の光のおおいなること、その恵みのありがたさ。「天高し御霊が一つまた一つ」秋から冬へ、季節の変わり目には訃報も多く…

鉄壁の緑の鎧

【自解・萩原18】「ずんずんと鷄頭咲きぬ道占拠」正岡子規に「鷄頭の十四五本もありぬべし」という有名な句があるが、鷄頭はよく見かける花だ。群生するので占拠という言葉が相応しい。「鉄壁の緑の鎧椿の実」庭に椿が植えてある。椿の実は皮が厚く固い。完…

芒、コスモス、曼珠沙華

【自解・萩原17】「野に芒穂先ゆらして背を競う」花屋の友人はこの句がいいという。句集を送ったら手紙をくれて、飲み屋で手作りの表彰状をくれた。ありがとう。世の中には競争がついてまわる、野原に咲く芒の世界にも。「行き先は私が決める神無月」娘から…