2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第2回飯田龍太賞

第2回飯田龍太賞(2015年)は、844組の応募があり戸栗末廣氏の「土」が受賞した。 私は、動物園をテーマにした作品を応募したが落選。 「秋の動物園」 動物園檻の内外虫の声 ライオンの鬣崩れ秋の水 秋の聲歯茎を見せるチンパンジー 尻むけて鼻たらす象昼…

蝉時雨

【2015年俳句(87)】 蝉時雨少し休みてまた鳴けり 蝉の鳴き声が止んだ。休憩が終ると、また鳴き出した。生き物は皆同じ、休むことも生きること。 暑き日の撒く水すぐに乾きけり 涼を得るため水をまいたが、あまりに暑いのですぐに地面は乾いてしまう。

熱帯夜

【2015年俳句(86)】 熱帯夜低く唸りて扇風機 熱帯夜である。エアコンは嫌いなので扇風機を使う。扇風機が回る、低い回転音が部屋に響く。 大暑なりハンカチに汗収まらず あまりに暑い夏日、汗をぬぐうが拭いても拭いても出てくる汗は、ハンカチでは間にあわ…

入道雲

【2015年俳句(85)】 入道雲光の中に立ち上がる 入道雲が夏空に広がり、陽光を浴びて光り輝くさまは荘厳。雲が、まるで立ち上がるかのようだ。 トンネルの続く道なり大西日 西日さす夕方、新東名高速道路を走って家に帰った。トンネルが続く道が多い。

夏燕

【2015年俳句(84)】 日めくりの半分消えて夏痩せぬ 七月、一年もすでに半分が終ってしまった。 夏燕休む暇なく巣へ通う 燕も巣作りに忙しい。生きることは、せわしい。

百日紅

【2015年俳句(83)】 暑き日を囃すがごとく蝉時雨 蝉の鳴く声はお囃子の如くに。暑い日ばかり。 百日紅愉しき時は短くて 楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。

由比の浜

【2015年俳句(82)】 寝室の四方とりまき蝉の声 寢室に四方から聞える蝉の鳴き声。夏真っ盛り。 鷗鳥一羽飛びたる由比の浜 由比の浜を鷗が一羽単独で飛んでいった。自由は孤独との抱き合わせ。

風車

【2015年俳句(81)】 螢火のいつしか消えて元の闇 いつのまにか蛍の姿が消えて、漆黒の闇だけが残された。 夏盛ん風車の翼ゆつくりと 盛夏の一日、風力発電の風車が、その羽根をゆっくりと回す。

灯取虫

【2015年俳句(80)】 そこなしのがらんどうなり旱空 日照りで乾ききった空のイメージ。 灯取虫明るきが好きなれば来る 灯の光に集まってくる虫たち。明るいところが好き。

睡蓮

【2015年俳句(79)】 睡蓮の馥郁として開きけり 睡蓮の花が咲いた。ゆったりと、匂うがごとく。 緑陰に男の姿消えにけり 木陰に男の姿が消えた。緑色だけが残像として残った。

青蛙

【2015年俳句(78)】 小さきは小さきなりに青蛙 アマガエルの小さな愛嬌のある姿が好き。小さくても小さいなりの矜持がある。 積乱雲戻ることなき道後ろ 過去は変えられない。前を向いて歩こう。

大観峰

【2015年俳句(77)】 大観峰鼻の先へと夏の雲 これも熊本旅行で大観峰へ行った時の句。山の稜線を人に見立れば、鼻のあたりに白い雲。 家遠し一番星のすでにあり 我が家に向かって帰る途中。一番星が空に光っている。

艸千里

【2015年俳句(76)】 ころがりし雀の骸炎天下 道路に死んだ雀がころがっていた。日は容赦なく降り注ぐ。 雲の峰馬糞踏み行く艸千里 熊本に旅行して、阿蘇山麓の艸千里で馬にのった。馬が歩くその下は馬糞だらけ。

薄明

【2015年俳句(75)】 梅雨止みぬ薄明は東より 雨が止み、うっすらと明るい日差しが東の方からさしてきた。 蝉鳴くや光の中へ這い出たる 地中から這い出してきた蝉。漆黒の闇から、光の世界へ。まさしく新世界。

夏空

【2015年俳句(74)】 窓の外ただ夏空があればよし 青く澄んだ夏空があれば何もいらない。 塵芥穢土の全てに梅雨しぶき 「塵芥穢土」はちり、あくた、えどと読む。汚れた世界を洗い流せとばかりに梅雨の雨が降る。

俳句αあるふぁ 佳作入選

『俳句αあるふぁ』2・3月号に、久しぶりの佳作入選。 選者は津川恵理子さん。 音信を断ちし人あり葉鶏頭

線香花火

【2015年俳句(73)】 梅雨寒や部屋のカーテン閉めたまま 部屋のカーテンも開けず閉じこもりたい気分の時もある。寒いのは梅雨のせいではない。 夜の底へ線香花火が落ちる 線香花火がぽたりと落ちる、夜の底へ向かって。火が消えれば、漆黒の世界があるのみ。

人類史

【2015年俳句(72)】 巣作りの場所をさがして燕二羽 つがいの燕が、巣を作る場所を探してしきりに飛び回る。いい場所はあったかな。 数知れぬ夏の夜の夢人類史 夏の夜の夢を見た人の数はいかばかり。太古より現代まで数多の夢のつながり、それは人類の歴史に…

紙飛行機

【2015年俳句(71)】 紫陽花に雨だれの音止まず アジサイに雨が降り注ぐ。濡れていよいよアジサイはあざやかとなる。 夏空へ紙飛行機は音もなく 夏の空へ向かい紙飛行機が飛んでいく。静かに音もたてずに。 ああ、どこまでも空は青い。

大西日

【2015年俳句(70)】 わが前に少年立てり大西日 私の前に立っているのは少年の私。西日がさすなか、立ち尽くす私。 朝ぼらけ今日また暑き日の予想 朝から暑い。今日もまた炎暑の昼となるのか。

白玉

【2015年俳句(69)】 アルプスと白さを競ふ夏の雲 北アルプスの冠雪の山脈と青空に浮かぶ雲が、お互いの白さを競い合う。 白玉を掬ひて笑窪あらはるる 白玉をスプーンですくい、よろこぶ顔にえくぼが現れた。

水しぶき ブログ700回到達!!

【2015年俳句(68)】 夏来る小鳥のとばす水しぶき 善光寺近くにある長野県信濃美術館東山魁夷館の中庭で遊ぶ子鳥達。水しぶきが夏の到来を告げてくれる。 夕焼空静かに落ちる砂時計 夕焼け空は茜色、砂時計の砂が静かに落ちていく。ブログ、本日700回到達。10…

御開帳

【2015年俳句(67)】 御開帳参拝の人湧き出でし 善光寺の御開帳に行く。すごい人込み。 一堂に鳩も雀も夏木立 木の前に雀と鳩が一堂に会し、餌をついばんでいる。

ミニトマト

【2015年俳句(66)】 ミニトマト母が密かに添え木かな ミニトマトが倒れないよう知らない間に母が添え木をしてくれた。 門前に七味買いたる薄暑かな 長野県善光寺の御開帳に行き、門前市で七味を買いました。

風の又三郎

【2015年俳句(65)】 夏木立うたごえ風の又三郎 宮沢賢治の「風の又三郎」、樹々の間を抜ける風の音。どっどど どどうど どどうど どどう。 新館にあいうええおあお風薫る 学生時代、劇団にいた。大学の教養部新館の建物で発声練習「あいうええおあお、かきく…

緑陰

【2015年俳句(64)】 緑陰に自転車の列続きけり 五月の太陽の光が作る木陰は、緑濃く目にもあざやか。その緑陰の下を、自転車が一列に続き走っていく。 絨毯をひろげたるかな蓮華草 絨毯をひろげたように、レンゲ草が一面に咲いている。緑がまぶしい。

糸とんぼ

【2015年俳句(63)】 緑蔭に手押車は母支え 腰の曲がってしまった母は手押車が移動の助け。少しの距離も休み休みでしか行けない。 耳遠き母の近くへ糸とんぼ 陞和10年生まれの母は81歳、耳も遠くなってしまった。人は次第に老いていく。仕方のないことだけれ…

鵜飼

【2015年俳句(62)】 鯉のぼり風につかまれ跳ね上がり 鯉のぼりが風に泳ぐ様は、風に摑まれそれをふりきろうと飛び跳ねているようだ。鯉のぼりが風を切って泳ぐ姿は爽快感がある。 篝火の闇に現れ鵜飼開く 長良川鵜飼は5月11日解禁となり10月15日まで開催さ…

水中花

【2015年俳句(61)】 水中花手をさしのべる人のなし 水中花は造花を水の中に封入したもの。夏の季語である。松坂慶子が昔「愛の水中花」という歌をヒットさせました。 野分過ぐやさしき空に戻りたる 台風一過。目に映るものは、皆やさしく。

サクランボ

【2015年俳句(60)】 唇はキスのかたちにサクランボ サクランボを食べるとき、口が閉まってキスの形になるって知ってましたか。 花茨心臓我を叩きけり 不整脈なので、たまに心臓がドクドクと小刻みに打ち、心拍数が上がることがある。健康にいまや自信なし。