2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

虚子探訪 (4) 大根の花

【虚子探訪 (4) 】 「海に入りて生れかはろう朧月」 明治29年。「生れかはろう」は刷新・転生を自分自身へ呼びかけた決意表明なんだろうか。それとも朧月が海に入るような感覚にとらわれたものか。幻想的な雰囲気を漂わせ、「う」音の繰り返しが句に心地よい…

虚子探訪 (3) 恋は曲者

【虚子探訪 (3) 】 「もとよりも恋は曲者の懸想文」 明治29年。懸想文はラブレターのこと。中8の破調でリズムもよろしくない。収録したのは、「恋は曲者(くせもの)」の言い回しが気に入っていたのか、自分の恋愛の思い出なのか。 「怒濤岩を噛む我を神かと朧…

『俳句』5月号、2句入選

『俳句』5月号に、2句入選しました。 「菊満開今日一日の恙無し」 本句は、伊藤敬子選で秀逸に入選。 「定規あて直線で消す冬初め」 本句は、朝妻力選で佳作入選。 名前が載れば、やはりうれしい。

虚子探訪 (2) 風が吹く

【虚子探訪 (2) 】 「風が吹く仏来給ふけはひあり」 明治28年8月。「下戸塚、古白旧廬に移る。一日、鳴雪、五城、碧梧桐、森々招集、運座を開く。」の注あり。仏は、正岡子規の年下の従兄弟の藤野古白のこと。子規の俳句仲間だったが、明治28年4月ピス…

虚子探訪開始

本ブログは大半が、自作の俳句を出来不出来は関係なしに「俳句帖」のタイトルに甘え記事にしてきたが、2014年分まで使い切りネタ切れ状態。1日1句に絞り込んでも、ライブ状態で書いていくのは至難の技であります。ということで、しばらくはストックづく…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(8)

「Ⅵ絶叫」13句より。昭和34年の作品。絶筆となる。 「ベツドの絶叫夜のブランコに乗る」 「師と歩む師を超えようとするあがき」 「生命線プツリとやせたてのひらよ」 「力なき手に愛情をまさぐるよ」 「イエスではない眼あたしにだけわかる」 川柳に出会えた…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(7)

「Ⅴ火のいのち」29句より。昭和33年の作品。この頃から体調も崩れ、病気も題材になってくる。 「量感をたのしむ黒き乱れ髪」「かくまでも女棲みつく性(さが)憎し」「子の服の見事に医療費を削る」「愛情も規格品とは情けなし」「体臭がなくなり薬沁みてく…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(6)

「Ⅳ乳房」29句より。昭和33年の作品。 恋愛、この場合は不倫関係であり、揺れ動く心情が伝わってくる。「子に会ひにこの日は聖女たる仮面」「ふくらみのある線母をあわてさせ」「言ひ切つた心の重さ抱いて寝る」「意味のない微笑答を回避する」「レツテル…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(5)

「Ⅲ真実のかけら」昭和32年「川柳研究」に掲載された「林ふじを抄」27句より。制作年代は不明。 「ほつといてほしい泣きたい時に泣く」「旧姓に還つてからの劣等感」「今一歩理智を足蹴にする勇気」「奥様と言はれ否定もせず笑ひ」「愛されてその幸せのま…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(4)

「Ⅱ愉しき悪」29句より。昭和32年の作品。 「乳房へはもう触れて来ぬ子の寝息」「子の孤独そつと両手であたためる」「向ひ合ふ事実へソツと背をずらし」「舌端に愉しき悪をころがせる」「過去ばかり探る男のつまらなさ」 実質的に育児放棄のようになった…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(3)

「Ⅰ鼓動」の29句の続き。 「花買つて何も喰べずに寝るとする」「胎動のひしひし愛し母とならんか」「残酷なまでに喪服がよく似合ひ」「改めて聞かう男のずるいとこ」「美しく清くと願ふこの愚か」 自己表現の手段を手に入れて、ぐいぐいと突き進む林ふじを…

林ふじを句集 川柳みだれ髪(2)

林ふじをの川柳を1月27日に紹介したが、もう少し紹介を続けたい。 普通は生の感情をそのまま、文字にして書き連ねても伝わらない。本書では作品として成立していて、林ふじをの「ほんとうの私」を表現したいとする息遣いがうかがえる。各章ごとに数句を抽…

冬銀河

【2014年 (193) 】 「珈琲はいつもブラック年流る」 主義として珈琲はブラック、砂糖・ミルクは入れない。 「冬銀河十七音の響きあり」 俳句とともに一年歩んできた。天空に銀河が拡がる、俳句の宇宙もまた無窮。 【2014年】シリーズは、今回で終了です…

年用意

【 2014年 (192) 】 「姿見に着ぶくれし身のはみ出せる」 はみ出すほど過剰なものは、着ぶくれた自分の姿ぐらいか。 「爪切るは生きていること年用意」 爪がのびるのは生命活動の証である。

暮早し

【2014年 (191) 】 「暮早し置いてきぼりとなりにけり」 「暮早し帰宅する人抜かれけり」 冬の夕暮れの早いこと。 『高浜虚子俳句の力』(岸本尚毅、三省堂、2010年初) 読了。

冬ざるる

【2014年(190)】 「樹間抜け風はきたれり冬の道」 冬の道に風は冷たく。 「骨届く足の冷たさ冬ざるる」 骨身に沁みる寒さがある。

葉脈

【2014年(189)】 「時雨傘落葉一枚ついており」 「葉脈の跡を残して枯れにけり」 落葉を詠んで2句。建国記念日の昨日は暖かな日であった。いよいよ春の到来である。

ブログ開設1周年

本日で、ブログを開設してちょうど1年となる。2014年2月11日から、ひたすら俳句関係のことだけを書き続け、毎日更新して1年間継続した。総アクセス件数5436件、一日あたり14件であるが、家族と俳句仲間にしか公表していないので、それ以外にも読んでくれた人…

手袋

【2014年(188)】 「手袋に五本の指を確かめる」 手袋に指を入れ身体感覚を取り戻す。 「風花や空の彼方は知らざれど」 風花は、冬晴れの日に青空から舞い落ちる雪片のこと。どこからやって来るのだろう。 携帯句会は、投票結果とコメント集を配信。十人参…

【2014年(187)】 「半身を入れし炬燵の赤炎」 炬燵にスッポリと心身共に入り。炎は「ほむら」と読んで下さい。 「凩や心臓の又波打てる」 心臓が高鳴る。不整脈持ちは要注意。

炬燵板

【2014年(186)】 「縦横の均しい長さ炬燵板」 大学生の下宿時代、炬燵板は机がわりでした。酒盛も麻雀も炬燵板の上。 「白銀の山見下ろせり冬支度」 冠雪した山脈がひろがる中、山里は冬の支度に忙しい。

鉄瓶

【2014年(185)】 「鉄瓶の湯気立つ部屋に祖父ありし」 祖父母は、はなれの部屋に居住。いつも火鉢の鉄瓶に湯がわいていた。炬燵に入って一緒にTVの相撲を観たのを思い出す。 「トランプの一人占い炬燵出ず」 炬燵は人を怠惰にする魔力がある。とにかく出た…

寒気団

【2014年(184)】 「行く年を置き去りにしてペダル漕ぐ」 前進あるのみ。 「寒気団御一行様ご到着」 寒さもいよいよ本格的に。

コンビニのおでん

【2014年(183)】 「冬ざるるもののあわれのなを遠く」 旧仮名で書かないと雰囲気でないなあ。 「コンビニのおでん湯気たて迎えけり」 コンビニのおでん、美味しいよね!

千枚漬

【2014年(182)】 「深々と千枚漬の白さかな」 京都の千枚漬、聖護院蕪の白さが目に沁みる。 「蝶板のゆるみしままに冬館」 蝶板は扉の留め具。 携帯句会は、句の集まりが悪かったが、蓋をあければ俳句作者9人全員の作品が投句される。沢山の作品に、楽しま…

十月の闇

【2014年(181)】 「十月の闇に溶けたる弧影かな」 「神無月天上へ神追いかけて」 喪中葉書で一歳上の従兄が自死したことを知る。両親と妻子を残して独り旅立った。その胸中は知る由もない。

第1回飯田龍太賞

NHK全国俳句大会の第1回飯田龍太賞(新作15句)は、鈴木伊都子「故郷(ふるさと)」が受賞した。応募総数は1375組。第1次選考112組。私の応募作は「夏休み」と題した以下の15句。予選も通過せず。印象的な句が、無いかな。水切りの石飛ぶむこう夏薊 屋根越…

香嵐渓

【2014年(180)】 「香嵐渓吊り橋の揺れ止まらざる」 「枯紅葉軽四輪に運ばるる」 11月23日、夫婦で愛知県香嵐渓へ遊びに行く。渋滞は覚悟して出かけたが、そんなこともなく紅葉と足助のレトロな街並みを楽しんできた。