竹の秋

【自解・萩原42】

「春時雨ビニール傘の透き通る」

雨が降ると、最近は白いビニール傘もよく見かける。コンビニで格安で販売されているからだ。ビニール傘は透明だから、透けて風景も使用者も見ることができる。

「去りゆくや春はまだまだ終わらぬに」
「棺窓静かに閉じぬ竹の秋
「棺映す影を最後に四月尽」

「森山義文、四月二十九日逝去」の前書き。森山は地元で畜産業を営む同年の友人。体調不良で入院していたが、あっという間に逝ってしまった。月に一度飲む仲間の一人。追悼の三句。

「山間に藤の花房滝懸かる」

この年は藤の豊作の年だったのか、各所で鮮やかな花が見られた。家から見える山藤は、滝が懸かったかの如く華麗な景色を見せてくれた。