【自解・萩原60】
「魂抜けの蝉ころがりし朝かな」
蝉の脱け殻を空蝉とよぶ。もちろんそこに魂はない。
「柿の実の小さき緑葉々の間」
柿の実も最初は本当に小さな実、緑の宝石が柿の若葉の間に輝いている。
「瞬いて花開きけり白木槿」
白い木槿の花は、瞬くように開花する。
「朝顔や言葉残りし男伊達」
「夕焼けを照らし返せり瑞鳳殿」
「仙台二句」の前書き。伊達正宗は戦国大名の中でも傑出した武将だったと思う。地勢上恵まれず天下は取れなかったが、海外に使節を派遣するなど視野の広さは頭抜けていた。男の心意気、粋を示す「男伊達」の言葉と霊廟「瑞鳳殿」が残された。