桜海老

【『萩原』以後(18)】


桜海老太平洋を連れて来し」


静岡から桜エビが送られてきた。桜エビは、干したものも美味しいが、生エビは格別の美味しさ。桜エビを見ると、頭の中には太平洋がひろがり、口中は唾が溢れて止まないのである。この句は、年賀状に載せて披露した。


「振り向かず忘れ残りの冬の蝶」


冬にも蝶は翔ぶ。ただしその翔ぶ姿は、はかなげで力強さに欠けている。振り向くことなどもちろんないのだが、ふらふらと眼前を翔び去った。


名古屋古書会館の即売会(オールデイズ)に行き、俳句関係の古書を5冊購入。『互選句集』(文藝春秋新社、昭和21年初)を400円で拾う。久保田万太郎久米正雄がお互いに俳句を選んだ句集。2人とも小説を書き俳句を作ったが、今はどちらも読まれなくなった。