森谷明子『南風吹く』

南谷明子の『南風吹く』(光文社)をようやく読了。『春や春』で俳句甲子園に挑む高校生群像を描いたが、これは『春や春』が東京篇なら、松山地方篇というべきもの。同じ題材で本を書くのは、前作で書き残したことがあったのか、俳句甲子園に思い入れが強いのか。話の展開は前作と変わらないが、最後は大円団で落ち着くところに落ち着いてエンターテインメントとして楽しめます。また田舎の過疎地が抱える問題をひしひしと感じる物語でもあります。

 

今ここがおれのポジション南風吹く

 

小説の主人公、小市航太の句。