ススキほどいたる所で見る草を知らない。我が家の前にも、ススキが自生している。

秋の七草のひとつで、風になびく様子は美しくあわれ。桜を知らない日本人がいないように、ススキを知らない日本人もいないだろう。

 

杣人に夕日なほある芒かな

 

原石鼎の句。

岩田由美『句集 雲なつかし』

台風22号が通過し、温帯低気圧に変わった。

朝起きて、サラダとオムレツの朝食。ゴミ出しして、犬のお散歩。

濡れた道路に沢山の落葉。何事もなかったごとく月曜日。

ポストにアマゾンで予約した岩田由美の第四句集『雲なつかし』が届いている。瀟洒なデザインで、本の帯に「いい句もある」と夫の岸本尚毅のコピー文。そうですか、それでは楽しみに読ませていただきます。

 

返す波引き込みながら卯波かな

 

句集の冒頭句。

オールデイズ

雨は降っているが、久しぶりに名古屋古書会館の古書即売会「オールデイズ」に繰り出す。西尾市岩瀬文庫で「にしお本まつり」、徳川美術館では「蓬左文庫古書市」が開催中であるが、どちらも最寄駅から離れているので雨天のためパスする。読み切れないほど本を買っても仕方がないのだが、行けば買いたくなるのが人間というもの。欲望が枯れ切っても面白くない。津田清子『句集二人称』(牧羊社)と能村登四郎『俳句実作入門』(大泉書店)の2冊を購入。その後栄に行き、ブックオフジュンク堂を回る。

 

うらがへる音もまじりて秋の川

 

山上樹実雄の句。

熟柿

いちまいの皮の包める熟柿かな


野見山朱鳥の句。
今にも崩れそうな熟柿を、あやうく保っている一枚の皮。「いちまいの皮の包める」とは、まさに熟柿の本情を掴んでいる、というのが山本健吉の『句歌歳時記』の評。

なんとも言えない味わいの句。命の豊かな実りと、崩壊の手前の緊張感。

他選

『俳句』11月号に、高野ムツオが第一句集を出すときに、金子兜太と佐藤鬼房に選句してもらったら、まるで異なり途方にくれたとの文章が掲載されている。同号の角川俳句賞の審査結果を見ても審査員が推す作品はバラバラ。17音の短詩に絶対的な序列はつかないのである。

俳句にはいやおうなしにその人自身が現われる。作句の姿勢に芯が通せればいいのではないか。他人の評価は評価として、自分が納得いくかどうかが大事と思う。

 

秋空につぶてのごとき一羽かな

 

杉田久女の句。

 

 

葉が落ちて、枝にたわわに柿の実が残っている。子供の頃は、竹竿で枝を捻って折り収穫したのを思い出す。甘柿と渋柿があり、渋柿は皮を剥いて天日に干し、干柿の保存食にした。今は柿も人気がないのか、鳥たちが食べるにまかせている。岐阜県は、富有柿が有名で柿の生産量は日本一。



山国や星のなかなる吊し柿


木内彰志の句。