蛇苺

蛇苺は、夏の季語。あちこちにその姿を見かける。
ドクダミと同様、名前ですごく損している植物。
苺のような赤い実はほとんど味がなく、食用に適せず虫などが食べるだけなので、その集まる虫をねらって蛇がくるため、この怖い名前がついたらしい。
名前が違えば、もう少し愛されると思うがどうだろう。


水音は草の底より蛇苺


ふけとしこの句。

若夏

角川書店の俳句歳時記の最新版を、ぱらぱらめくっていると「若夏」という見慣れない季語が載せてある。これは沖縄で旧暦四、五月頃の稲の穂の出始める初夏の時候をいい、「夏口」ともいうが歳時記の説明。沖縄の地方季語も載せているんだと初めて知る。

「若夏」の言葉は、爽やかな感じで美しい。

 

若夏の風ふところに王の墓

 

山城青尚の句。

石塚友二

石塚友二といっても、もう忘れ去られた人で話題になることもない。芥川賞候補にもなった作家で、石田波郷亡き後の「鶴」の二代目主宰。
『俳句』に『師資相承 石田波郷石塚友二』(大石悦子、角川書店)の広告が掲載されていたので、Amazonで注文。手元に届いたので、読み始めたところ。石塚の俳句は私小説風な味わいがある。「私の俳句は日々の私の生活の記録であつて、そしてそれで一切である。」と自身が、句集の後書に書いている。潔いものだ。


舌にがき日ありけれどもビール飲む

友二の句。

多佳子忌

5月29日は、橋本多佳子の命日「多佳子忌」である。
橋本多佳子全句集を手に入れたのて、すごく親しみがある。日頃は、三橋鷹女・橋本多佳子が1冊になっている朝日文庫を読んでいる。
橋本多佳子や桂信子の活躍により、女性が俳句の表現を広げていった。女性にしか書けない世界がある。祭笛の句など本当にいいと思う。


濃き墨のかはきやすさよ青嵐


橋本多佳子の句。

『海街diary』連載終了

吉田秋生の漫画『海街diary 』が、『月刊フラワーズ』連載終了となるらしい。連載12年と聞くと、もうそんなになるのかと思う。吉田秋生との出会いは『櫻の園』、それ以来の付き合い。『海街』は、鎌倉を舞台に異母姉妹の物語が展開する。ベテランのストーリー作りと、初期の絵柄とはうって変わったおだやかな作画がとても好きだった。マンガ大賞も映画化も納得の作品である。



街の上にマスト見えゐる薄暑かな


中村汀女の句。

立葵

会社の前の歩道に植えてある立葵が花を咲かせた。いつの間にか、背丈を超えた高さになっている。開花しなければ気づかなかっただろう。ピンクがかった赤い花が鮮やかに夏を彩る。少し西に行くとタワーマンションの前の歩道にも立葵が満開。

 

直立のタワーマンション立葵


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