桜、桜、桜

【自解・萩原3】

「花冷えの川泳ぎ行く鴨が二羽」

JR東海の「さわやかウォーキング」で4月に多治見を妻と歩いた。折り返し地点の笠原川を、鴨が二羽上流へと泳いでいった、あれは夫婦だったのだろうか、

「蕎麦たぐる箸の先には花の宴」

これも「さわやかウォーキング」の時にできた句。昼食に『井ざわ』で蕎麦をたべる。本町通りでは陶器祭が開催され多くの人で賑わっていた。

「終点は我降りる駅桜咲く」

JR中央線で通勤している。名古屋からの下り終点は、中津川が多いが、瑞浪終点の電車もある。西行の「願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月の頃」を連想して。

「石段の数を忘れし花吹雪」

神社の石段を数を数えながら登っている、風が吹いて桜の花びらが頭上に降りかかかる。美しい光景に見とれているうちに、石段の数を忘れてしまったのである。

「凛と立つ薄墨桜山深々」

根尾(岐阜県本巣市)の薄墨桜を見に行った。樹齢1500年以上と言われる薄墨桜の老木は、何本も添え木をあてられ、今年も花を咲かせる。花の美しさより、山の奥深く凛として立ち続ける存在そのものに、心うたれる。
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