追悼 小沢昭一

【自解・萩原28】

「世の中を遊び尽して実万両」

小沢昭一逝く」の前書き。2012年12月10日、前立腺ガンで死去。俳号「変哲」、東京やなぎ句会で活動。小沢昭一の本が、俳句へのめり込むキッカケとなった。

「乾杯の盃鳴らす師走かな」

十二月は、なんだかんだで飲む機会が増える。乾杯の掛け声は好き。

「コートかけ今日一日を終りとす」

ハンガーにコートを掛けて、一日が終ったと思う。今日もよく働いた、よく頑張った。

「寒椿ちあきなおみの歌を聞く」

ちあきなおみほど、表現力のある歌手をしらない。しみじみと彼女の歌を聞きたい時がある。なかでも「冬隣」は絶唱、この歌は本当に心に沁みる。夫を亡くし歌手活動を止めてしまったが、今も人気があるのはよくわかる。

「斜め降る雪を黙して見るばかり」

雪の降る光景に、言葉は不用。沈黙のなか雪は降り続く。しんしんと積もりゆく雪に、世界は変容していく。