小沢昭一の本を読んだら、久保田万太郎の俳句が久しぶりに読みたくなり、アマゾンで『万太郎俳句評釈』(戸板康二)を購入。
この本で、泉鏡花の『婦系図』を俳句にした8句が紹介されている。
「短日や八丁堀の露地の中」
「冬つばき世をしのぶとにあらねども」
「あはれなり咳入りてさへなまめけば」
「俥より下りてかじかむ手なりけり」
「薬鍋かけし火鉢のすぐに目に」
「羽織だけ着替へし肩の寒さかな」
「櫛畳紙(くしたとう)ひろげて寒き畳かな」
「親なれば子なれば似たり冬の梅」
万太郎の初演出が『婦系図』、熟知の芝居とはいえ、こんな風に俳句はできない。凄い!