虚子探訪(93) 夏草

【虚師探訪(93)】

 

「夏草に下りて蛇うつ烏二羽」

 

大正7年?或は7年以前なるべし。地面にカラス2羽が蛇を捕獲せんと闘争している様子を描く。生存するための食糧確保であるが、非情の光景が展開されている。

 

「夏の月皿の林檎の紅を失す」

 

大正7年7月8日。虚子庵小集。芥川我鬼、久米三汀等来り共に句作。夏の月が空に繋り、月光に照らされて皿に盛られたリンゴの赤色が消された。