虚子探訪(215) 夜長

【虚子探訪(215)】

 

加藤洲の大百姓の夜長かな」

 

昭和8年10月1日。武蔵野探勝会。常陸鹿島神社行。

鹿島神社の帰路、加藤洲を通った時に詠まれた句。水郷地帯特有の風景が続くなか、大百姓の家もあるが、他の百姓と同じく秋の夜長に静かに溶け込んでいく。

 

「 倏忽(しゆつこつ)に時は過ぎ行く秋の雨」

 

昭和8年10月8日。田園調布、橙黄子新居句会。

「倏」は犬が速く走る様、たちまち、すみやか、にわかの意。秋雨がふる如く、たちまちに時間は過ぎて行くという感慨。