立版古

「立版古」(たてばんこ)という季語がある。夏の季語であり「物語の一場面などを厚紙にくりぬき、舞台を模した框のなかに立てたもの」と歳時記は説明するが、実物を私は見たことがない。季語の中にはもう廃れてしまったものが散見されるが、物が分からないものはもう詠みようもない。絶滅危惧種の季語は沢山あると思われる。

 

与右衛門の足の細さよ立版古

 

久保田万太郎の句。