百句燦燦

塚本邦雄の『百句燦燦』(講談社文芸文庫)をアマゾンで購入。この文庫出た時のことは覚えていたが、その時買ったのか覚えがなく書棚を探してもないので、結局買うことに。塚本邦雄の放出するエネルギーに圧倒される。掲載された俳句は、独特の視点から選ばれているなあというのが率直な感想だが、好きなものは人それぞれの嗜好があるのが当たり前か。

 

ほととぎす迷宮の扉の開けつぱなし

 

『百句燦燦』所収の塚本邦雄の句。

浅田真央引退

本日も雨が降っている。浅田真央が引退を発表。ソチ・オリンピックでは重圧がショートプログラムで彼女を奈落に落とし、フリーでは圧巻の演技をしたものの、集大成とした舞台で6位で終わった。その悔やみが彼女を再度復帰させた要因の一つなのだろうが、1年の休養をしたアスリートに勝利の女神は振り向かなかった。才能があっても、努力をしても、報われないことは人の世にあふれている。だから人は頑張っている人を、応援するのだろう。

華のある美しいスケートをする選手でした。お疲れ様。

 

未来とは常に前方幣辛夷

 

蒲公英

タンポポの黄色い花があちこちに咲いている。家の庭にも鮮やかな黄色をみせているタンポポを発見。タンポポはキク科の多年草で、どんなところにも咲く。か弱げにみえて実は生命力の強い花だ。

そういえば、JRのゲートタワーがこの4月に開業したが、東京日本橋の「たいめいけん」が出店している。この店のおすすめメニューが「タンポポオムライス」。とてもおいしい。

 

タンポポの笑い顔なるオムライス

 

チューリップ

本日も雨である。おかげで一斉に草花が成長をする。知らないうちに家の回りには色々な花が咲いている。わが家の東側には、去年植えた水仙とチューリップが開花。周りに雑草もはえてきたので手入れをして花壇らしくしたい。

花が咲くというのは、なんとうれしいことか。

 

チューリップ喜びだけを持つてゐる

 

細見綾子の句。

沢蟹

散歩から帰ってくると、目の前を小さな蟹が横切っていく。沢蟹である。家の回りには水路があるので、今日は雨でもあるし這い出てきたのだろう。今の家の底地も昔は、水田で工場に使い今は宅地となったもの。我が家の上は休耕田。

山のふもとの田舎すまいだから、小鳥や小動物、虫たちは絶えず我が家を訪れる。

 

春山のどの道ゆくも濡れてをり

 

加藤三七子の句。

 

春雨

朝から雨である。名古屋の桜も開花宣言があったばかりだが、花見に出かけるには残念な天気。しかし午後からは雨も上がるらしい。

春雨は、古来しっとりとした趣のあるものとして詠まれてきた。「春雨じゃ、濡れて参ろう」は、何の科白だったのだろう。このフレーズは、いつも思い出す。

 

春雨や小磯の子貝濡るゝほど

 

蕪村の句。

大岡信逝去

詩人、評論家の大岡信が5日、肺炎で86歳の生涯を閉じた。2009年に脳出血で倒れてからは第一線を退いて療養中であった。

大岡信と言えば、私には「折々のうた」である。俳句の入り口はこのシリーズで色々な俳句を読むことから始まった。詩作品は読まなかったが、「折々のうた」や評論集など俳句の道案内をしてもらった。どの世界にもよき先導者が必要だと、つくづく思う。合掌。

 

鳥帰る無辺の光追ひながら

 

佐藤鬼房の句。