記憶にございません
「タイトルを見た瞬間」
「てっきり自分のことかと思いました」
「いい本もたくさん読んだのに、どうでもいい超大作も読んだのに」
「「いい本だった」ことは憶えていても、感動したり泣いたりもしたのに」
「ほとんどの内容を憶えていない。いったい何の為に読んだんだか」
「なのに今日もまた本を買っている」
「ムダじゃないのか?」
リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』のタイトルを見て吉野朔美が書いたコミックエッセイ「記憶にございません」の吹き出しの台詞を並べてみた。そうです、ムダです。人は機械ではないのでムダができるのです。ムダがなかったら、つまらないじゃないか。「本の雑誌」に掲載されていた吉野朔美の漫画好きだったな。本の趣味は全く違うけど。
五月雨読みさしの本枕元
山藤
藤の花が旬を迎えている。
家の窓から、四方に山藤の紫の花房が見える。都会では、この風景の豊かさを楽しめない。
紫の朝日匂へる山の藤
田植え
家の近所ではもう田植えが済んでいる。他の田も水がはられ、田植えを待つばかり。夜になると、蛙の大合唱。子供のころから聞きなれているので、うるさいとは思わない。
私の家の田は休耕田なので、稲の替わりに雑草が伸び放題となる。草刈のシーズン到来である。
眠られぬ夜の寝室遠蛙