林ふじを句集 川柳みだれ髪(4)

「Ⅱ愉しき悪」29句より。昭和32年の作品。


「乳房へはもう触れて来ぬ子の寝息」

「子の孤独そつと両手であたためる」

「向ひ合ふ事実へソツと背をずらし」

「舌端に愉しき悪をころがせる」

「過去ばかり探る男のつまらなさ」


実質的に育児放棄のようになった子供への思いが切ない。