虚子探訪(236) 緑陰

【虚子探訪(236)】

 

「燕(つばくろ)のしば鳴き飛ぶや大堰川(おおいがわ)」

 

昭和10年5月2日。京都嵐山、花の家。立子と共に。

大堰川(おおいがわ)の上を燕がしきりに鳴き、飛び交っている。大堰川は、桂川の嵐山渡月橋付近から桂橋までの称。

 

「緑陰を出れば明るし芥子は実に」

 

昭和10年6月13日。七宝会。小石川植物園

よく晴れた初夏の一日、緑したたる木陰を出るとき非常に明るさを感じた。この間まで咲いていた芥子の花は実になっている。