南風集 自作(4)

 つぶやきのような句ばかりだが、見て浮かんだことを言葉にかえた。

2016年9月号から11月号掲載分。


鳥の声昨日と違ふ夏の空

本の背を眺めて独り蚊遣香

夏衣両肘を風撫でていく

つば広の帽子真深く薄暑かな

 

旱空シャーペンの芯よく折れる

女郎花今日また少し背が伸びて

草いきれハンカチ顔を一周す

 

火の玉のふるへて上がる花火かな

金亀子ぶつかることを止めぬなり

万物に蜩の声しみゆけり