はつなつみずうみ分光器

短歌のマイブームが継続中。『本の雑誌』で紹介されていた瀬戸夏子の『はつなつみずうみ分光器』(左右社)を読んでいる。この本はサブタイトルが「after2000現代短歌クロニクル」とあるように、2000年以降に出た歌集を軸に、現代短歌の全体が見渡せる労作。現代短歌は穂村弘東直子以外は斉藤斎藤ぐらいしか知らないので、多様な短歌に触れることができて楽しい。問題は興味のままに買いだすと、本が増え過ぎてしまうことだ。すでに棚からは本がこぼれ出しているのに、まだ買うのかと、もう一人の自分が言っている。

 

噴水に乱反射する光あり性愛をまだ知らないわたし

牛乳のあふれるような春の日に天に吸われる桜のおしべ

こころとは脳の内部にあるという倫理の先生の目の奥の空

 

小島なお『乱反射』より。