『アウトロー俳句』

北大路翼編の『アウトロー俳句』がアマゾンより届く。新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」のアンソロジー。都会の暗闇に蠢く者たちの俳句108句(人間の煩悩の数に合わせたか)が収録されている。最近の中心線をずらしたような現代俳句より、きれいではないがストレートな俳句が心に響く。河出書房新社はよくこんな本作るな、えらいッ。「サラダ記念日」を世に問うたのも河出書房新社でした。

 

駐車場雪に土下座の跡残る

春一番次は裁判所で会はう

 

帯に抜かれた二句。

 

鳥交る外しまくつてゐるダーツ

踏切の音になりたい夏休み

 

年末賞与

「年末賞与」「ボーナス」は冬の季語。賞与自体は、夏にも支給されるし、決算賞与もあるから冬の独占事項ではないわけだが、越年資金、餅代などと呼ばれた時代の名残りなのだろう。

大企業は10日あたりに支給されることが多いが、中小企業のわが社はこれから支給。経理担当としては、賞与額が決定しデータ作成が完成したので、やっと一息。会社員が12月で一番うれしい日は、賞与支給日だろうな。

 

懐にボーナスありて談笑す

 

日野草城の句。

 

健康

「鼓腹撃壌」という言葉がある。よく治められた太平の世には政治を意識することもない。健康も又然り。五体健やかなるときは、健康の文字さえ頭に浮かばない。調子が悪くなって初めて、対象の器官を意識するようになる。

ということで、本屋の書棚に面陳されていた『血圧と心臓が気になる人のための本』(古川哲史、新潮新書)を思わず買ってしまいました。まさに私の事を指さしている様なタイトル。血圧の本もたくさん読んだ気がするなあ。本を読んで血圧が下がればいいけどね。でも最近はそんなに数値は高くない。

 

冬晴や不生不滅の碧き空

 

秋山朔太郎の句。

 

長崎ちゃんぽん

昼食に長崎ちゃんぽんを食べる。「ちゃんぽん」は「様々なものを混ぜること、または混ぜたもの」を意味する言葉だが、この言葉を覚えたのは長崎ちゃんぽんからだろうな。長崎ちゃんぽんは、チェーン展開するリンガーハットが有名だが、食べ物としては明治時代の頃に、福建省福建料理をベースに考案された地方料理で、全国的な食べ物ではない。今日食べた店は長崎ちゃんぽんだけを大将一人で切り回す専門店。長崎ちゃんぽんで名古屋で勝負するという発想はどこから出たのだろう。単品850円、ライスとキムチ食べ放題という店でした。

 

ちゃんぽんの大きな器年の暮

日短

「日短(ひみじか)」という季語がある。冬の日暮れの早い様子をあらわした季語である。冬至の頃が一日が一番短く、過ぎ行く時間の速さが気ぜわしい。俳句初心者の頃に「ひみじか」で4音しかないと思っていたが、読むときに「ひいみじか」で5音の取り扱いがされていると知った。

 

すこしづゝ用事が残り日短

 

下田実花の句。

 

さようならまた遊ぼうね日短

 

子供の挨拶をそのまま使った私の句。

炬燵

炬燵は日本独特の暖房措置らしい。思えば子供のころから、冬といえば炬燵とワンセットであった。大学時代の下宿部屋にも、真ん中には常に炬燵があった。

現在の我が家では炬燵は出さない。子供たちも家を出てしまい、炬燵に入れば何もしなくなってしまうからである。暖房はもっぱら石油ストーブ。おかげで畳の上の生活というものも無くなってしまった。もう畳に座ると足腰が痛くなってしまう。

 

たましひの脂ぬけゆく炬燵かな

 

橋閒石の句。

草間時彦『瀧の音』

草間時彦の第八句集『瀧の音』を入手したので早速読みました。著者の八十歳代の句集である。年齢を感じる句が多く、病気や老いが頻繁に題材にとりあげられている。草間は本句集で蛇笏賞を受賞、翌年八十三歳で亡くなっている。


八十歳は実感なき年齢だったが、来年還暦を迎える年になってみると、そんなに遠くでもないかとも思う。

 

千年の杉や欅や瀧の音

 

句集名となった俳句、句集より。