横蔵寺の木乃伊(ミイラ)
【自解・萩原4】
「横蔵のミイラ笑いて桜散る」
岐阜県の揖斐川町谷汲の横蔵寺には、江戸時代に絶食して生き仏となった僧侶の木乃伊(ミイラ)が展示してある。桜も散り出した頃に見学した。「美濃の正倉院」と呼ばれる、隣の宝物館の所蔵品も素晴らしい。
「調教馬春を駆けるや息あわす」
通勤の車窓から名馬オグリキャップを生んだ「笠松競馬」の厩舎が見える。馬場では訓練の馬が走っている。駆ける馬の呼吸と自分の呼吸を合わせて、春の疾走を追体験。
「蒲公英が頭をあげて道の端」
道端に咲くタンポポへエールの句。場所は何処であれ、堂々と花咲く。
「風わたる菜の花の川流れたり」
春には菜の花が、あちこちに群れをなして咲き、黄色が目にも鮮やか。風が吹いて菜の花が揺れた、川の流れのように。
「紫を微かに見せて野の薊」
野原には紫の色も見える。それはアザミの花の紫色。沢山ではないが、小さいけれど私もここにいるとばかりに、鮮烈な紫を主張する。