高野ムツオ『句集 萬の翅』

高野ムツオ『句集 萬の翅』(角川学芸出版、2013初版)が、読売文学賞を受賞し、第48回蛇笏賞も受賞した。作者は宮城県在住、東日本大震災被災。「子熊座」主宰。
早速に読んでみた。印象に残った句を10句紹介する。


「人間に戻りてプールより上がる」

「万の翅見えて来るなり虫の闇」

「煮干一山歳晩の潮満ちて来る」

「飛べるなら紙屑もよし師走空」

「春光の泥ことごとく死者の声」

「車にも仰臥という死春の月」

瓦礫みな人間のもの犬ふぐり」

「みちのくの今年の桜すべて供花」

「梅雨雀誰を捜しているのだろう」

「雪解水あるはずだった未来より」